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2018年10月15日

アルコールと肥満(その2)

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Ⅲ アルコールと肥満
 
 アルコールと肥満の関連で最近注目されているのは、飲酒人口の増加、アルコールによる脂肪の代謝異常、体内脂肪分布の変化に関してです。
 一般的には日常のアルコールに由来するエネルギーは約5~10%位だと考えられています。しかし、アルコール依存に陥っている人では、1日の摂取エネルギーの35~50%以上がアルコールによって占められています。
 アルコール飲料で太るといわれる理由は、アルコール自体が高カロリーだからです。アルコール1グラム当たりの熱量は7.1kcalもあり、日本酒1合(またはビール大瓶1本、またはウイスキーダブル1杯、何れもアルコール量は約22グラムに相当)を飲酒すると、160kcal(2単位)のエネルギーを摂取したことになります。
  しかし、アルコール飲料、特に蒸留酒には、通常の食品でみられるようなビタミン・ミネラルなどの含有がなく、またアルコールのエネルギーは体内に蓄積されず、さらにアルコールの代謝の過程で、新たに必須栄養素が産生されるなどというような、人体に対して栄養学的には明らかな有益な現象が生じないので、エンプティー・カロリー(見かけだけのカロリー源)といわれています。
 先に述べたように、栄養過剰状態でアルコール摂取量が多い人では肥満しているものが多くいますが、アルコール依存に陥っているものでは、むしろアルコールエネルギーは多いものの栄養摂取の偏りからやせている場合が多い。これはアルコールの代謝が脂質の代謝と競合するのが原因だと考えられています。これは、食品のエネルギー摂取状態で脂肪蓄積の状況が変化するということです。エネルギー過剰摂取の状況でアルコール摂取が行われると、肝臓での代謝状態を変化させて、脂肪の代謝を抑制したり、アルコールを代謝する過程で産生される酢酸が、末梢組織での脂肪分解を抑制するために、脂肪蓄積に繋がる可能性が考えられています。
 
Ⅳ アルコールにより間接的にもたらされる肥満
 
アルコールにより間接的に肥満がもたらされるメカニズムとしては、食前酒に代表されるようにアルコールの食欲増進作用があります。さらに、アルコールのつまみとして一般に摂取するものには、脂肪分の多い高カロリーの食品が多いことも、アルコールにより肥満がもたらされる原因として十分に注意しなければなりません。
 また、ビールや日本酒は太るがウイスキーや焼酎は太らないといわれていますが本当でしょうか。これは栄養学的にビールと日本酒にはアルコールの他に糖質やタンパク質も含まれるので、純アルコールとして同じ量を摂取したときに、ビールや日本酒はウイスキーや焼酎に比べて高カロリーになることを反映しているだけにすぎません。
 飲酒を長期間続けていると、ビール腹という表現に代表されるように、下腹部が突出する人が多いことがよく見受けられます。飲酒は体脂肪分布の蓄積、特に内臓脂肪蓄積に影響することが北欧での調査で明らかにされました。またストレスがかかった状態で、アルコール摂取と同時にタバコを吸うと、視床下部、下垂体、副腎皮質が活性化されて内臓脂肪が蓄積しやすくなるという報告もあります。
 北欧での大規模な調査研究の結果では、アルコールは肥満と関係がありますが、運動したり、禁煙したり、適量のアルコール摂取に心がけたり、健康的なバランスのよい食事をとることで標準体重が維持できることが報告されています。
 いずれにしても、飲酒者では、アルコールの直接的な効果か間接的な効果かは別にして、食べ過ぎ、飲み過ぎ、不規則な生活習慣、ストレスで肥満になることを肝に銘じる必要があるようです。

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