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2025年5月26日

シビレと脊椎疾患(その3)

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Ⅳ 脊柱管狭窄症
 
脊椎の中には、脊柱管というパイプ状の空間があり、その中を脊髄が通っています。脊髄は第一腰椎の位置で終わり馬の尻尾に似た馬尾神経となり、各腰椎から神経根として脊椎の外へと向かっていきます。加齢や疾患などの原因で馬尾神経または神経根の通り道が狭くなり、神経が圧迫されると、歩行障害などの症状が発生します。これが脊柱管狭窄症です。60歳代以降に多く発症し、「間欠性跛行」という長い距離を続けて歩けなくなる症状が典型的に出現します。保存的療法で治療するのが基本ですが、神経の圧迫が進行して日常生活に支障を来すような場合は、手術を行うこともあります。
 原因の多くは加齢に伴う組織の変性によるものです。神経の近くにある椎間板が膨らんだり、脊柱管の後方にある黄色靱帯が厚くなったり、椎骨をつないでいる椎間関節に骨棘(骨がトゲのように変性したもの)ができたりすることで神経が圧迫されて症状が出現します。腰椎すべり症や椎間板ヘルニアも原因となります。他にも骨粗鬆症や脊椎周辺にできた腫瘍が原因となる場合もあります。神経が圧迫される場所によって3つの型があります。脊椎の中心にある脊柱管が狭くなって馬尾神経が圧迫されるものを「馬尾型」、脊椎から外に向かう神経根が圧迫されるものを「神経根型」、その両方が合わさったものを「混合型」といいます。
 特徴的な症状の間欠性跛行は、歩くと足にシビレや痛みが出たり、こわばってきたりして歩くことがつらくなり、休むとそれが楽になるというものです。そのため、長い距離を続けてあることができず、歩行と休息を繰り返すことになります。発生したシビレや痛みは、前屈みになったり、椅子に腰掛けたりするという姿勢の変化で軽快します。神経の圧迫が進むにつれて連続で歩行できる距離がだんだん短くなっていきます。さらに症状が進むと、安静にしていても痛みやシビレが出たり、会陰部に違和感が生じたり、排尿や排便がしにくくなることもあります。馬尾型には両足にシビレや痛みが出ることが多く、神経根型は片側の臀部から足にかけての症状が出ることが多くみられます。
 問診や視診などで特徴的な症状を認めた場合は、MRI検査で診断を確定します。手術を考慮する場合は、さらに脊髄造影検査も行われます。間欠性跛行は、動脈硬化によって血流が不足する閉塞性動脈硬化症によっても引き起こされますので、鑑別診断が必要です。
 保存的療法としては、コルセットの装着と鎮痛消炎剤の投与が一般的です。神経の血流を改善することでシビレや痛みを軽減する経口プロスタグランジンE1誘導体製剤(オパルモン錠5μg)の投与も有効です。温熱療法、けん引などの理学療法や、神経ブロックなどの療法を併用することもあります。それと並行して、脊椎周囲の筋力トレーニングやストレッチなどのリハビリテーションも行います。保存療法でも効果が得られないで、日常生活に支障を来すようなときは手術療法を検討します。手術には、神経を圧迫している椎間板や靱帯などを切除する除圧術と金具を入れて腰椎を固定する固定術があります。最近は身体への負担が少ない内視鏡を使った低侵襲手術も行われています。

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