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2018年1月22日

 糖尿病と癌(その1)

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Ⅰ はじめに
 
糖尿病を治療する最大の目的は、可能な限り正常値に近い、良好な血糖コントロールを維持して、動脈硬化症や神経障害、網膜症、腎症などの細小血管障害が起きないようにすることにあることは、いうまでもありません。この目標を達成するために、私たちの医療スタッフは一生懸命努力しています。
 しかし、初診時の糖尿病患者さんの血糖コントロールが悪い原因が、肝臓癌や膵臓癌であったり、長期間通院している糖尿病患者さんに、肝臓癌や胃癌、前立腺癌などがあることがわかり、医療スタッフが愕然とすることが少なくありません。糖尿病患者が良好な血糖コントロールを維持して、動脈硬化症や腎症などを予防することができれば、患者さんは高齢化していきますから、癌の罹患率が高くなっていくのは当然のことともいえます。

Ⅱ 日本人糖尿病患者さんの3割は癌が死亡原因
  
全国の医療機関225施設を対象にした「糖尿病の死因に関する委員会報告」によると我が国の糖尿病患者の29.2%は癌が死因となっていて、血管合併症(糖尿病性腎症、虚血性心疾患、脳血管障害)の39.3%に次いで、第2位の死因となっています。この調査によれば、癌による死亡は30歳代から認められ、男性は40歳代から、女性は50歳代からほぼ30~40%の頻度を示しているといいます。
 
Ⅲ 糖尿病になると癌にかかりやすくなるのか
 
大阪府立成人病センターのデータによると、糖尿病患者の死因に占める癌の割合は26.6%で、これは性年齢をマッチさせた大阪府住民一般の予測死亡数の1.48倍であったといいます。また、癌の発生部位をみると、肺癌や胃癌の増加はみられずに、肝臓癌や膵臓癌の増加が目であったとのことでした。
 福岡県久山町の住民検診データでは、糖尿病患者は男性で2.5倍、女性で5.2倍癌が多かったと報告されています。
 欧米の調査でも同様の結果が報告されています。スエーデンのデータでは、糖尿病患者は正常な人に比べて、膵臓癌1.4倍、肝臓癌1.5倍、子宮体癌1.5倍、癌にかかりやすいといいます。イタリアの調査でも同様な結果でした。
 どうやら糖尿病患者さんで、癌の発症リスクが増加していることはまちがないようです。

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