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2016年9月9日

くだものの取り方(その2)

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Ⅳ 果糖の代謝とインスリン

 ブドウ糖も果糖も代謝されてエネルギーになるためには、細胞に取り込まれて代謝のいろいろな段階を経る必要があります。 
 ブドウ糖は代謝されるために、まず細胞の中に入る必要があります。ブドウ糖が細胞膜を通過するには、インスリンの助けが必要です。また細胞の中に入ったブドウ糖が代謝されるときにも、その最初の段階でインスリンの調節を受けます。
 このため、インスリンが不足していたり、インスリンの働きが悪い糖尿病では、ブドウ糖代謝のスピードはインスリンの多寡や働きの良し悪しの影響を受けるために、正常に比べると、ゆっくりしています。このために糖尿病では、血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれるのが遅れたり、細胞の中での代謝のスピードが遅いために、高血糖になるのです。
 これに対して、くだものに含まれている果糖は、体の中で代謝されるときに、ブドウ糖とは異なり、インスリンの調節を受けません。細胞に取り込まれるために細胞膜を通過するときも、細胞の中で代謝が始まる最初の段階でも、インスリンの調節を受けません。インスリンが不足していようがいまいが、またインスリンの働きが悪かろうが、果糖はお構いなしに代謝されていくのです。このため、果糖はブドウ糖に比べた約3倍の速さで代謝されていきます。

Ⅴ果糖の代謝の特徴
 
 果糖はインスリンの助けがなくても代謝されるという特徴があるばかりでなく、代謝の途中で後戻りをすることがあるという特徴があります。ブドウ糖は一端代謝が始まると、エネルギーを作るか、エネルギーが足りているときは中性脂肪になり予備エネルギーの形で蓄えられ、もう一度ブドウ糖に戻ることはありません。しかし、果糖はエネルギーが足りている状態では、代謝の途中でブドウ糖に変換されてしまうことがあります。このため、果糖の取りすぎが血糖値の上昇を招いてしまうのです。
 果糖とブドウ糖は異なるために、いくら果糖を食べても血糖値は上昇しないというのは、全くの迷信です。くだものを食べると血糖値は確実に上昇します。

Ⅵくだものとどう付き合うか
 
 くだものは昔は私たち庶民が口にすることができる唯一の甘味でした。紀伊国屋文左右衛門が紀州からミカンを江戸に運んで財をなしたのも、当時の人々がビタミンが欲しくてミカンを買ったからではありません。甘味としてのミカンが欲しかったからです。くだものは饅頭と同じ甘味を取るための食品と考えて、適量食べるのが一番良い方法だと思います。ですから、饅頭を食べた日はくだものが食べられません。

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