アルコールと肥満(その1)
Ⅰはじめに
酒は百薬の長ともいわれますが、飲酒量がすぎれば生活習慣病の素になります。多量の飲酒は、アルコール依存症ばかりでなく、アルコール性肝障害、糖尿病、高脂血症、高血圧症、脳血管障害、膵炎や癌などを引き起こすという報告もあります。現代社会の多様化により、我が国のアルコール総消費量は著名な増加を示しています。1997年の国内調査では、1日純アルコール摂取量が150グラムを超える大量飲酒者が240万人以上いると報告され、我が国で病的アルコール摂取者が増えていることが明らかにされました。
一方、肥満症とは脂肪組織の過剰沈着と脂肪分布の以上に由来して健康障害をきたす病態を指し、生活習慣病と観点から、その病態が最近とみに注目を集めています。
肥満症は、食関連行動の歪みと慢性のエネルギー代謝障害が相まって生じて、インスリン抵抗性を基礎にして内臓脂肪型肥満がもたらされるために、糖尿病、高血圧、高脂血症などの多様な生活習慣病を合併してきます。また、アルコール、喫煙、ストレスなどが生活習慣因子として内臓脂肪を増加するともいわれています。
アルコールと肥満の関連については、栄養過剰でアルコール摂取量が多い人が肥満している傾向にありますが、アルコール依存症に陥っているものでは、むしろ栄養摂取の偏りからやせている人も多くみられます。アルコールと肥満の関係について考えてみましょう。
Ⅱアルコールの代謝
飲酒後のアルコールは、摂取された約30%は胃で吸収され、残りの約70%が小腸上部で吸収されます。体内に吸収されたアルコールの約90%は肝臓に運ばれて代謝されますが、ごく少量のアルコールは代謝されずに直接呼気中、尿中、汗などに排泄されます。アルコールのほとんどは肝臟で代謝されて酢酸になり、最終的には水と二酸化炭素になり、体外へと排泄されます。
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