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2024年7月8日

インスリン抵抗性と肝の炎症(その1)

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Ⅰ はじめに
 
肥満人口や2型糖尿病患者の増加により、非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)を含む非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)患者が増加してきています。古くから、糖尿病と肝疾患に密接な関連があることは知られていました。2型糖尿病とNASH/NAFLD、または、それらに共通する病態基盤であるインスリン抵抗性の形成に、慢性炎症が密接に関与しています。

Ⅱ 2型糖尿病でのNASH/NAFLDの頻度
 
飽食の時代を迎えて久しい我が国では、成人の約3人に1人は肝機能異常を指摘されています。ウイルス性肝疾患の制御が可能になり、アルコール消費量は減少に転じている現在、糖尿病と肝疾患あるいは肝癌との密接な関連には、肥満や2型糖尿病の増加を背景としたNASH/ NAFLDの増加が少なからず寄与していると考えられます。NAFLDは肥満症やメタボリックシンドロームの肝臓における表現型とされ、内臓脂肪型肥満症やインスリン抵抗性を病態基盤として、2型糖尿病や心血管疾患のハイリスク状態として捉える必要もあります。
 2型糖尿病でのNAFLDの罹患率は、健常者の罹患率の2倍以上です。世界20カ国の80試験の成績をまとめた最近のメタ解析では、2型糖尿病患者の55.5%(東アジア52.0%)においてNAFLDを合併している報告されています。さらにNAFLDを合併する2型糖尿病のうち、17%はNASHから進展する高度な肝線維化を呈しているとされています。

Ⅲ NAFLDからNASHへの進展
 
NAFLDからNASHや肝硬変への進展において、肝臓への異所性脂肪蓄積から生じるインスリン抵抗性や自然免疫の過剰反応による炎症、細胞内ストレス(酸化ストレスや小胞体ストレス等)を伴う肝臓の脂肪毒性が共通のメカニズムとして想定されます。
 NASHは肝硬変や肝不全、肝癌の主要な原因である一方、2型糖尿病や脂質異常症などを高率に併発するNASHを背景とした肝硬変では、C型肝炎ウイルスによる肝硬変に比べて、心血管関連死の割合が有意に高いことが知られています。また、NASHの肝臓病理像である脂肪化、炎症、細胞変性並びに線維化等のうち、肝線維化の進行した群は長期予後(死亡率、肝移植並びに肝臓関連死)が悪化することが示されています。

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