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2024年5月6日

サルコペニアとは何か(その1)

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Ⅰ はじめに
 
サルコペニアの定義・診断は、サルコペニアという言葉が最初に提唱された30年前からかなり変化してきました。サルコペニアは特に高齢者や入院患者に多く認められ、寝たきりや摂食嚥下障害といった機能障害、生活の質(Quality of Life:QOL)低下、死亡リスク増加と関連するため、その評価と対応は極めて重要です。

Ⅱ サルコペイアの定義
 
サルコペニアは1989年にRosenbergによって、加齢による骨格筋減少を意味する言葉として提唱されました。サルコは筋肉、ペニアは減少・消失を意味するギリシャ語です。サルコペニアという言葉が提唱された当初は、骨格筋減少=サルコペニアでした。
 2010年にヨーロッパのワーキンググループ( European Working Group on Sarcopenia in Older People:EWGSOP)によってサルコペニアのコンセンサス論文が発表されました。この論文では、「サルコペニアは進行性、全身性に認められる骨格筋量減少と筋力低下であり、身体機能障害、QOL低下、死のリスクを伴う」と定義されました。骨格筋量減少単独の場合には、サルコペニアではなく前サルコペニアと定義しました。一方、骨格筋量減少に加えて筋力低下もしくは身体機能低下を認めた場合にサルコペニアと診断するとこの論文の発表以降、様々な研究グループによるサルコペニアの定義が発表されましたが、いずれも骨格筋量減少だけでなく筋力低下もしくは身体機能低下を含んでいました。
 2014年にアジアのワーキンググループによるサルコペニアのコンセンサス論文が発表されましたが、EWGSOP論文の定義を踏襲していました。
 2018年にEWGSOPによる新たなコンセンサス論文、EWGSOP2が発表されました。ここでは、{サルコペニアは、転倒、骨折、身体機能障害および死亡などの転機不良の増加に関連しうる進行性および全身性に生じる骨格筋疾患である」と定義されました。
 さらにEWGSOP2論文では、サルコペニアは高齢者だけの骨格筋疾患ではなくなりました。高齢者でなくてもサルコペニアは生じるとしました。特にがん、慢性心不全、慢性呼吸不全、慢性腎不全、慢性肝不全、自己免疫疾患、慢性感染症などの疾患による二次性サルコペニアは、高齢者でなくても多く認められます。小児のサルコペニアに関する論文もいくつか報告されていて、サルコペニアは年齢不問の疾患といえます。

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