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2025年4月28日

シビレと脊椎疾患(その1)

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Ⅰ はじめに
 
手や足がシビレると、これは糖尿病のためだと考えて、自分もついに糖尿病になったかと医療機関を受診する人が少なくありません。確かに手や足がシビレる糖尿病性末梢神経障害は糖尿病の合併症として有名ですが、実は糖尿病性末梢神経障害の診断基準は曖昧で、他の原因疾患が見当たらないときに初めて診断されるのです。MRI検査が現在のように発達していなかった時代には、手や足のシビレの原因を脊椎疾患だと診断することが今ほど容易ではなかったために、過度に見落とされていた嫌いがあります。手や足のシビレの原因となる脊椎疾患について考えてみます。

Ⅱ 椎間板ヘルニア
 
身体の中心に通っている脊椎(背骨)は、24個の椎骨が積み重なって形成されています。上から7個の椎骨を頸椎、12個を胸椎、下の5個(4個または6個の場合もあります)を腰椎といいます。それぞれの椎骨の間でクッションの役割を果たしている円盤状の軟骨が椎間板です。この椎間板が、老化や運動等によって本来の位置からはみ出した状態が椎間板ヘルニアです。はみ出た部分が神経を圧迫することで、痛みやシビレといった症状が発生します。最も多いのは腰の部分に発生する腰椎椎間板ヘルニアで、50歳代をピークとして、男性は女性の約2倍の確率で発症します。 
痛みやシビレなどの症状の現れ方は、ヘルニアの発生部位や状態によって様々で、腰椎椎間板ヘルニアでは、腰・臀部の痛み、座骨神経痛による足の痛みとシビレ、筋力低下、歩行困難などの症状がみられます。前屈みになったり、椅子に長く座っていると痛みやシビレが強くでることが多いです。神経の圧迫が進むと、尿が出にくい、便秘がちになるという症状が出ることもあります。頸椎椎間板ヘルニアの症状には2つのタイプがあります。ひとつは首の痛みと片方の肩や手に強い痛みやシビレが生じるもの。もう一つは両手に痛みとシビレが出て、箸が使いにくくなったり、ボタンがかけづらくなったりするものです。足のもつれや歩行困難が出ることもあります。胸椎椎間板ヘルニアは足のシビレや脱力感、歩行障害などが特徴的な症状で痛みは強くありません。
 椎間板ヘルニアに対する治療の第一選択は保存的療法です。安静を心掛け、痛みが強いときには消炎鎮痛薬や筋弛緩薬を服用し、神経ブロック(神経の周囲に痛みや炎症を抑える薬を注射する)などで痛みを和らげます。急性期を過ぎて痛みが軽くなったら、けん引やマッサージ、温熱療法、低周波療法、運動療法などを行います。これらの保存的療法では痛みが治まらない場合や、筋力低下、歩行困難・排尿困難といった症状が進行する場合は、手術的療法が検討されます。手術には、ヘルニアを摘出する方法と、椎間板の髄核の一部を摘出することで突出した部分を戻す方法がありますが、一般的にはヘルニア摘出術を行います。最近では内視鏡を使った低侵襲手術も増え、身体への負担が少なく入院期間も短くなりました。
 日常的な予防方法としては、背骨に負担をかけないことが大切です。重いものを持つときには腰をかがめて膝を使って持ち上げるようにします。長時間同じ姿勢でいることを避け、適度な運動を習慣づけることも効果的です。腹筋や背筋は背骨への負担を少なくするので、筋力の維持・向上に心掛けましょう。ニコチンは椎間板周囲の血管を収縮させることで変性を促進するため、禁煙することが基本です。

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