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2016年1月19日

ストレスと糖尿病(その2)

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Ⅳ ストレスと糖尿病
 
 ストレス状態では、ストレスホルモンと呼ばれているカテコラミンとコルチゾールの分泌が亢進します。
 カテコラミンはインスリンの分泌を抑制すると同時に、脂肪細胞からの脂肪分解を促進します。脂肪分解が盛んに行われると、血液中の中性脂肪(トリグリセリド)の代謝産物である遊離脂肪酸(FFA)が増えて、インスリンの働きを低下させます。
 また、カテコラミンは動脈を収縮させますから、筋肉への血流が減少して筋肉でのブドウ糖が消費も低下します。カテコラミンはこれらの一連の反応で間接的に血糖値を上昇させるばかりでなく、肝臓のグリコーゲンを分解してブドウ糖を産生して血糖値の上昇に直接的にも関与しています。
 コルチゾールもインスリンの作用を低下させたり、肝臓でブドウ糖を盛んに作らせる働きがあります。従って、糖尿病患者さんがストレス状態になると、血糖値は上昇し、糖尿病のコントロールは悪化します。
 また、糖尿病であること、治療に伴う苦痛(食事療法、注射、低血糖など)、社会の無理解、他人との関係、将来や合併症への不安など、糖尿病患者さんは糖尿病であるだけで多くの心理的ストレスにもさらされています。このようなストレスへの適応が上手に行えないと、治療に対して消極的になり、血糖コントロールが悪くなることも知られています。

Ⅴ ストレスを感じたら
 
 ある出来事がストレスになるかどうかは、その出来事の大きさや性質のみならず、患者さんがその出来事をどのように認知するか、自分一人で対処することができるのか、家族や医療者をはじめとする社会的なサポートが得られるのかどうか、などによって決まります。
 もし、強いストレスを感じたときは、自分一人で悩むのではなく、家族や主治医、看護婦などの医療従事者を含めた人々との対話を増やして、サポートを積極的に求めることが大切です。
 私たちのクリニックでも、患者のみなさんへのよりよいサポート体制を作るよう、これからもより一層努力します。自分一人では対処できないようなことが起きたときには、どんなに些細なことでもかまいませんので、積極的に相談して下さい。
 

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