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2022年2月14日

不眠症について(その2)

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Ⅳ 不眠症の診断と鑑別診断
 
不眠症と診断するためには、夜間睡眠の問題と日中の生活への影響を考慮することが大切になります。典型的な場合では、身体疾患・心理的な負担や環境的な要因で不眠症状が発現し、何とか眠ろうとする努力を繰り返すうちに、夜間特に心室環境で緊張感と興奮が高まり(過覚醒傾向の形成)、ますます眠られなく名という悪循環を生じます。
 不眠症の鑑別診断で重要なのは、睡眠妨害現象による不眠です。概して睡眠中の異常現象に基づいて生じる不眠は、睡眠維持障害(中途覚醒、早朝覚醒)を主体にすることが多いのです。また、概日リズム睡眠障害でも、横断面では入眠障害(睡眠相後退症候群:若年者に多い)や極端な早朝覚醒(睡眠相前進症候群:高齢者に多い)を呈することがあり、鑑別する必要があります。また、精神疾患による不眠も重要な鑑別を要する疾患で、特にうつ病では、抑うつ症状の前駆症状として不眠が発現していることがあります(全体の4割程度)。

Ⅴ 不眠症の治療と予後

①不眠症の全体像の把握
 不眠症治療の基本は睡眠薬内服になりますが、軽症例では少量の睡眠薬で十分な改善が望めますが、慢性化している場合は、患者さんの焦りといらだちを医療者側が十分に受容して治療を行う必要があります。これと同時に、睡眠習慣を含めた患者さんの睡眠衛生を確認する必要があります。例えば、夜間のアルコール摂取(アルコールは夜間後半の睡眠を浅くし中途覚醒を生じやすくしますが、不眠患者さんの中には不眠解消のためにアルコールを連用している場合がかなり多くみられます)、カフェインなどの刺激物の摂取状況、仕事を含めた生活習慣と運動習慣、入浴時間帯などをチェックします。

②睡眠衛生の調整と睡眠薬の内服
 前述の睡眠衛生項目の中で、著しい偏りがある場合は改善する必要があります。特に、睡眠覚醒に関わる生体リズム機能を強化する配慮と、患者さんの眠らなくてはいけないという過度のこだわりを取り除く必要があります。特に高齢者では、眠らなくてはと意気込んで、早すぎる時間に寝床に入るため、中途覚醒または早朝覚醒が現れてしまうことがよくあります。一方で、夜間睡眠が不十分だから休養を取ろうと寝床に遅くまでいる場合、運動・仕事を含めた活動性が低下してしまい、生体リズムのメリハリが減少してしまうこともあります。
 まず何時間眠ろうという目標を立てるのを止め、日常生活に差し障りなくなる程度に眠れることを目指すようにします。8時間睡眠などという言葉にとらわれてはいけません。また、起床時刻を一定(早寝するために早起きを優先)にすること、午睡を含めて昼間に臥床しないこと(昼寝をするなら20~30分以内)、なるべく朝の時間帯に太陽光を浴び,日中の活動量を増やすようにします。
 アルコールの併用は、薬物の副作用を助長する可能性があるので避けるべきでしょう。

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