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2020年7月11日

低タンパク食による食事管理(その1)

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Ⅰ はじめに
 
糖尿病の三大合併症として糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害がありますが、近年、糖尿病腎症に罹患する患者数の著しい増加がみられています。人工透析が適応となる症例は、これまでは圧倒的に慢性腎炎を基礎疾患に持つ例が多かったのですが、近年は糖尿病腎症を基礎疾患として持つ例の占める割合が多くなっています。
 糖尿病腎症は、糖尿病の罹病期間が12年以上経過し、その間の血糖コントロールが悪かったため、長い間続いた高血糖により、腎臓の糸球体の毛細血管に障害が起こるために微量のアルブンミンが漏れるようになり、その後10年前後で尿にタンパクが漏れ始めて血液中のたんぱく濃度が下がり、浮腫や高血圧症など腎炎と同じ症状が起こります。進行していくと腎不全となり、人工透析が必要となります。糖尿病腎症の進行を阻止するためには指示された必要エネルギーを確保しながら、血糖コントロール、たんぱく質の制限、塩分の制限の3つを基本とした食事療法が必要になります。

Ⅱ 糖尿病腎症の食事療法(3つのポイント)

①必要エネルギー量の確保
 たんぱく質の摂取量を減らすと、指示されたエネルギー量を満たすことができなくなります。そこで、たんぱく質を減らした分は、炭水化物や脂質の比率を増やして補うことになります。
 たんぱく質は、血液や筋肉を作りだすなど、栄養素としての役割があります。一方、人間の体はエネルギーの補給を最優先しますから、炭水化物や脂質によるエネルギーの補給が十分でないと、たんぱく質が本来の目的に使われずに、エネルギー源として利用されてしまいます。また必要なエネルギー量を確保できないと、体内のたんぱく質が壊されて、老廃物が増加することになります。
 エネルギー量不足による栄養障害に陥らないために「治療用特殊食品」の活用も必要になります。

②病期に応じたたんぱく質の制限
 体内の余分なたんぱく質は尿素などの老廃物となって、腎臓で濾過されて尿中に排泄されます。腎臓の機能が低下している人がたんぱく質をとりすぎると、老廃物を排泄するための腎臓の負担が大きくなり、そのことが一層腎臓の機能低下を早めてしまいます。
 腎臓病の治療は、たんぱく質の摂取制限などにより、腎臓の負担をできるだけ軽くして、残っている腎機能をできるだけ長く保ち、腎不全への移行を遅らせることが目的となります。血清クレアチニン値が1.5mg/dl以上になると、一般的にはたんぱく質摂取の制限を始めます。

③塩分制限
腎症が起きると体に塩分がたまりやすくなり、その結果血圧が上昇します。高血圧は腎症の進行を加速させる重要な原因のひとつですから、糖尿病腎症の食事療法では、食塩の摂取の制限も行う必要があります。
 また、腎症が進行すると、カリウムが尿中に排泄されにくくなり、血液内のカリウム濃度が上昇します。血液中のカリウム濃度が高くなりすぎると不整脈が起きやすくなり、場合によっては致命的な不整脈をもたらす危険性もあるために、カリウムの摂り過ぎにも注意が必要です(腎不全期には1500mg/日に制限します)。

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