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2021年1月5日

喫煙と糖尿病(その1)

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Ⅰ はじめに
 
悪性新生物、心疾患、肺炎、脳血管障害は日本人の死亡原因の上位を占めますが、これらの疾患には喫煙と糖尿病が密接に関連します。さらに、喫煙はインスリン抵抗性の増大、アディポネクチン値の低下、血糖コントロールの増悪、糖尿病の発症などへの関与が示唆されていて、糖尿病患者では禁煙が原則となります。また、非喫煙者・禁煙車の場合も受動喫煙を避ける必要があります。

Ⅱ 喫煙と糖尿病の発症リスク
 
7件の日本の研究を含める25件の世界中の研究を分析した結果、喫煙者は2型糖尿病の発症リスクが高い(相対危険度1.44倍)ということが明らかになりました。また、その相対危険度は禁煙者1.23倍、喫煙本数20本/日未満1.29倍、20本/日以上1.61倍と喫煙本数に比例して糖尿病の発症リスクが高くなることが判明しました。
 また職場での受動喫煙による糖尿病発症の機序については不明な部分が大きいのですが、インスリン抵抗性を増大させたり、糖代謝異常を招いたり、アディポネクチン値を低下させたりすることが一因である可能性が指摘されています。また、インスリン抵抗性は8週間の禁煙で改善するという報告もあり、禁煙による糖尿病発症抑制の効果が期待されています、
 一方で、禁煙伍の体重増加を指摘する報告も数多くあり、短期的に禁煙で2型糖尿病リスクが上昇するとする意見もあります。
 最新の日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2012-2013」では、「境界型糖尿病を見出したときの取り扱い」の項で、食事や運動、飲酒週間などの生活習慣の改善の一つとして禁煙指導も挙げていて、糖尿病患者だけでなく、家族歴、肥満歴、生活歴などから招来の糖尿病発症が疑われる予備軍の喫煙者では是非禁煙指導を行うべきなのです。

Ⅲ 喫煙と糖尿病の合併症
 
糖尿病に罹患していると様々な疾患のリスクが上がります。その多くは血流の障害によるものともいえます。いわゆる糖尿病の三大合併症は細小血管障害によるもので、網膜症、腎症、神経障害です。大血管障害としては、動脈硬化による心筋梗塞、脳梗塞、壊疽などがあります。糖尿病に喫煙が加わると、各疾患に対するリスクが更に上昇します。これまで発表された21論文を分析した結果では、喫煙者は非喫煙者に比べて、概してやせているが、冠動脈疾患による脂肪は喫煙者で多く、喫煙は身長160㎝の場合、40Kgの肥満に相当するという結果でした。
 慢性腎臓病(CKD)については、糖尿病の喫煙者は非喫煙者の2倍リスクが高いことや、透析導入される時期が早くなることが明らかにされています。網膜症に対する喫煙の影響は古くから指摘されていましたが、HbA1cが1%上昇した場合の網膜症に対するリスクより喫煙の影響の方が大きいという報告もあります。同様に神経障害に対する影響にも多くの報告がありますが、患者自身が「タバコを吸うと直後に手足のシビレがひどくなる」と自覚していることも少なくありません。

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