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2021年8月10日

大気中微小粒子状物質(PM2.5)(その1) 

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Ⅰ はじめに
 
空気中には大きさや成分が異なる様々な粒子状物質が浮遊しています。呼吸により人体に取り込まれた粒子の大部分は、鼻腔、咽頭、上気道に沈着して排泄されますが、粒径が小さい粒子ほど空気中に長く浮遊して、吸入されると細気管支や肺胞レベルまでという肺の末梢器官にまで到達しやすいことから、健康への影響が懸念されています。特に、粒径2.5μm以下の粒子は、微小粒子状物質(PM2.5)と呼ばれ、人工起源のものが主体であり、燃焼により直接排出される一次粒子と、ガス状物質として排出され、大気中で光化学反応などによって凝集・転換して生成される二次粒子からなります。1990年代から米国を中心にPM2.5の健康影響に関する研究成果が相次いで報告され、国際的に注目されるようになってきました。

Ⅱ 大気汚染の健康に与える影響の疫学的評価方法について
 
大気汚染の健康への影響をみる方法としては、暴露期間の面からは短期暴露と長期暴露に、健康影響の面からは急性影響と慢性影響に大別されます。
 短期暴露研究は、1日単位などの短期間での大気汚染物質への暴露と健康指標の関連を時系列的に解析したもので、代表的なものとして、1952年12月のロンドンスモッグ事件があります。このときは放射冷却のために地表から熱エネルギーが失われ、冷却された大気の上に暖かい空気層が存在する逆転層の状態となったため、地上の空気が上空に拡散しなくなり、石炭燃焼により排出された二酸化硫黄や粒子状物質が極めて高い状態が数日間続きました。それと共に死亡者数が増加し、大気汚染の悪化が始まってからの2週間に約4,000人の過剰死亡(例年の同時期における死亡の約2.6倍)がみられ、特に気管支炎による死亡(同9.3倍)が著しく増大しました。こうした事例について、大気汚染と健康影響の関係を評価するものが短期暴露研究です。
 一方、長期暴露研究は、大気汚染物質に長期間にわたって暴露されることによって人に生じる健康被害を評価するものです。日本を始めとする多くの国の工業都市では、かつて重化学工業の急速な拡大に伴って大量の大気汚染物質が排出され、周辺地域では長期にわたって大気汚染が深刻となり、住民の間で喘息や慢性気管支炎などの呼吸器疾患の多発が問題となりました。こうした健康影響の評価課が長期暴露研究です。

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