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2018年11月19日

寿命と運動について(その1)

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Ⅰ はじめに
 
 寿命に影響を与える因子としてこれまで幾つかのものが確かめられてきました。遺伝因子、性差因子、体重・肥満因子、社会経済的因子(ライフスタイル)、退職因子、地理的因子など寿命に影響するとされています。
 運動因子については、スポーツや運動が長寿に役立っているという説と、反対に短命に働くという説が依然として併存しています。しかし、近年根気強い長期間の追跡調査が欧米で報告され、それらの結果からして運動やスポーツの延命効果が明らかになりつつあります。

Ⅱ 睡眠時間と寿命について
 
 1964年にハモンドという学者が100万人以上追跡調査して、睡眠時間と寿命について研究した結果を発表しました。その結果によると、4時間以下の単時間睡眠と10時間以上の長時間睡眠が極端に高い死亡率を示し、7から8時間睡眠の死亡率が最低となっていました。傾向として認められたのは、40から50歳代の壮年では、6、7、8時間の何れでも大差は認められませんでしたが、60歳以上になると5時間以下や9時間以上の睡眠グループの死亡率が高くなっていました。
 
Ⅲ 運動習慣と寿命について
 
 ハモンドは同時に運動と寿命についても分析しています。彼は調査対象を5歳階級毎に非運動、軽度の運動、中等度の運動、激しい運動というように4区分して、それぞれのグループ毎に死亡率を計算しました。この結果、運動の程度がより強いほど80歳以上の高齢者層を除いたすべての年齢層で、死亡率の低下をもたらしていることをハモンドは100万人という大集団で示しました。

Ⅳライフスタイル危険因子の効果について
 寿命に対して、運動を含めたライフスタイル諸因子がどのような影響を与えるか、という観点から多くの検討がなされています。その結果、喫煙や飲酒、運動不足、高血圧、高脂血症、家族歴などの因子が、それぞれ強い関わりを持っていることが判ってきました。
 運動不足、喫煙、高血圧の3大因子と心臓発作の発症率との関連を調べたスイスの研究によると、3因子とものリスクファクターを持たない群の心臓発作発症率の危険度を1.00としたときの、他の群の危険度をみてみると、ひとつだけリスクファクターを持つ場合には、運動不足の場合が最も危険度が低くて危険度1.34、高血圧が1.59、喫煙が1.91でした。2つリスクファクターを持つ場合には、運動不足と喫煙の組み合わせが最低で2.50、喫煙と高血圧の組み合わせが3.03,運動不足と高血圧が3.90でした。そして3つともリスクファクターを持つ場合には7.07と極めて高い危険度が示されました。
また、運動の励行や禁煙などによる延命効果は、より若い時期から始める方が効果の多きいことが明らかにされましたが、老年に入ってからでも僅かではありますが延命効果があることも示されました。
 健康になりたい、健康で長生きしたいとは誰しもの願いであり、最近では余暇にスポーツを取り入れて、健康の維持・増進に努める人が増えてきています。ライフスタイルの改善と寿命の関係を年代別にみても、若い時期に始めた方がより効果的であることは確かです。しかし、中高年以降でも生活改善したグループに延命効果がみられるという結果から考えると、身体活動レベルやライフスタイルを改善するのに、「遅すぎる」という時期はなさそうです。
 そしてさらには、青年期にいくら盛んに運動していても、その後その習慣を捨ててしまう場合には却って寿命を縮めてしまう可能性が大きいようです。

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