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2025年8月18日

微量ミネラル欠乏症について(その1)

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 Ⅰ はじめに

 生命の源である原始地球は、約46億年前に宇宙塵が凝集して作られました。原始地球では、まず海水中でアミノ酸が形成され、重合反応を繰り返しながら生命体へと進化していきました。地上に酸素が形成されると、生命体は海から陸へと進出し、更にヒトへと進化していきました。この一連の進化の過程で、生命体は地球に存在する様々な元素を利用してきました。特に微量ミネラルは高次機能を獲得するために重要な役割を演じてきました。このような進化の過程を踏まえて、微量ミネラル欠乏症について考えてみましょう。

Ⅱ ヒトの体の構成成分とその機能
 
ヒトの体はすべて元素で構成され、地球に存在するほとんどすべての元素がヒトの体内に見出されます。それらは、大きく分けて多量元素と微量元素(微量ミネラル)に分けることができます。
 多量元素には、酸素、炭素、水素、窒素のような共有結合をしやすく体の構成に必要な元素と、ナトリウム、カリウム、塩素、カルシウム、リン、硫黄、マグネシウムのようなイオン化しやすく、生体内で浸透圧や膜電位に関与して生体機能に役立っている準主要元素があります。ヒトの体の全重量の内主要元素は96~97%、準主要元素は3~4%を占め、体を構成するタンパク質、糖質、体液などはこれらの多量元素で構成されています。
 一方、含有量が鉄より少ない元素は微量元素(微量ミネラル)と呼ばれ、ヒトの体の全重量のうちわずか0.02%を占めるに過ぎません。通常、微量ミネラルという場合は、必須微量ミネラルを指します。ヒトの微量ミネラルには、鉄、亜鉛、銅、クロム、ヨウ素、コバルト、セレン、マンガン、モリブデンがあり、これらの微量ミネラルは遷移元素に属していて、原子の表面で電子の授受が起こりやすく反応性に富んでいるため、生体内では酸素や生理活性物質の活性中心として働き、それらの機能の発現や維持に関与しています。

Ⅲ 微量ミネラル欠乏症とは
 
多量元素と微量ミネラルを栄養素の観点から見ると、糖質、タンパク質、脂質という三大栄養素を構成する多量元素の欠乏は栄養不良、ミネラルの欠乏は水電解質異常として現れるの対して、微量ミネラルの欠乏は生体内の酵素や生理活性物質の活性低下として表現されます。
 微量ミネラルの場合、①微量ミネラルの欠乏により欠乏症状が現れる、②欠乏した微量ミネラルを補充することで欠乏症状が改善する、③その微量ミネラルが生体内の酵素や生理活性物質の活性中心として機能している、以上の①~③を証明することにより初めて微量ミネラル欠乏症と認められます。
 このように、ヒトに見出される微量ミネラルは、生命の維持や生体の恒常性を維持するために必要不可欠な元素です。

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