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2025年9月1日

微量ミネラル欠乏症について(その2)

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Ⅲ 微量ミネラル欠乏症とは
 
  表  ヒトの必須微量ミネラル欠乏症の主な症候

     鉄    貧血、倦怠、免疫能低下など
     亜鉛   成長遅延、味覚低下、嗅覚低下、血圧上昇、腎機能低下、免疫能低下、
          皮膚炎、溶血、うつ状態、暗順応不全、妊娠異常など
     銅     骨や血管の異常、神経・精神発達遅延、貧血、白血球減少など
     クロム   糖尿病、脂質異常症など
     ヨウ素   甲状腺腫、クレチン症
     コバルト  悪性貧血(ビタミンB12欠乏)
     セリン   心筋症、筋異常、心筋梗塞、癌など
     マンガン  低コレステロール血症、体重減少、血液凝固異常など
     モリブデン 脳症など  

 近年、測定法の進歩に伴い微量ミネラルの検出感度が鋭敏化して、かつて汚染物質として有害視されていたヒ素やカドミウム、鉛などが生体内に極めて微量に見出されるようになりました。これらの元素は超微量ミネラルと呼ばれ、動物実験では一定の欠乏症状が出現し、これらを補充することでその改善が認められ、動物にとっては必須ミネラルと考えられています。しかし、今の所ヒトに対する必須性は不明です。

Ⅳ 生活習慣病や老化との関わり

 近年、基礎的・臨床的研究が進み、生活習慣病や老化に微量ミネラル欠乏が深く関わっていることが分かってきました。生活習慣病と老化の病態的背景には、フリーラジカルの増加、免疫能低下、血圧上昇、脂質異常症、耐糖能低下、発がんリスクの上昇があり、多くの微量ミネラル欠乏で同様の病態が観察されています。
 フリーラジカルの増加による健康障害は、生活習慣病や老化の一要因でもあり、生体内ではスーパーオキシドジスムターゼ(亜鉛/銅、マンガン)、グルタチオンペルオキシダーゼ(セリン)カタラーゼ(鉄)がフリーラジカルスカベンジャー(抗酸化物質)として中心的な役割を果たしています(括弧内は活性中心微量ミネラルを指す)。実際、これらの活性中心微量ミネラルの欠乏は、フリーラジカルスカベンジャーの活性低下を介して、フリーラジカルの増加をもたらし、補充療法によりフリーラジカルスカベンジャーの活性は回復します。同様に、微量ミネラル欠乏症でみられる他の病態(免疫能低下、血圧上昇、脂質異常症、耐糖能異常、発がんリスク上昇)も補充療法で改善することが知られていますが、微量元素と生活習慣病や老化の関わりに関する、更なる研究が期待されるところです。 

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