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2021年12月6日

成人のワクチン(その1)

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Ⅰ はじめに
 
ワクチン接種の対象者の多くは小児で、その目的は社会的な感染症の発症および蔓延の予防です。これに対して、成人のワクチン接種の主な目的は個人の発症予防および重症化防止に重点が置かれています。また、小児期に受けたワクチン接種で獲得された抗体は成人になって減衰していくことが推測されているため、追加接種の必要性も考慮する必要があります。感染症の発症を防御できる抗体価がどの程度持続するかは疾患により異なるため、追加接種の必要性やタイミングも多種多様となりますが、すくなくとも不活化ワクチンであればその必要性は高いと考えられます。

Ⅱ 肺炎球菌ワクチン
 
肺炎球菌には93種類の血清型があり、現在開発されているワクチンはその内の頻度の高い血清型を含んでいます。

1)莢膜多糖体ワクチン(pneumococcal polysaccharide vaccine:PPSV)
日本では1988年に23価のワクチン(PPSV23:ニューモバックス)が承認され、2006年より改良を加えたニューモバックスNRが販売されています。このPPSV23に含まれる多糖体はT細胞非依存性抗原で、メモリーB細胞が誘導できないために2回目以降の接種によるブースター効果は得られません。このワクチンは肺炎球菌感染症に対して50~80%の防御率を発揮しますが、その予防効果は 5 年以上持続するとされているが、接種により上昇した特異抗体濃度は時間の経過とともに低下し、高齢者や呼吸器、循環器に基礎疾患を有す る人では低下しやすい傾向にあることも報告されている。特異抗体濃度の低下は肺炎 球菌感染症の重症化リスクの増加につながるおそれがあるため、抗体水準を維持する ために再接種が必要となります。また、乳幼児や小児ではこのワクチンでは抗体は産生されません。

         表1 肺炎球菌ワクチン摂取推奨者
1  65歳以上
2  高齢者介護施設入居者
3  慢性疾患既往者(呼吸器疾患、慢性肝疾患,慢性心不全,糖尿病など)
4  免疫不全者
5  2歳以上の脾臓摘出者

           表2 肺炎球菌再接種対象者
1  65歳以上の高齢者
2  機能的または解剖学的無脾症(鎌状赤血球症,脾摘者など)の患者
3  HIV感染者,白血病,悪性リンパ腫,ホジキン病、多発性骨髄腫,慢性腎不全

2)結合型ワクチン(pneumococcal conjugate vaccine:PCV)
無毒性変異ジフテリア毒素結合体によるワクチンで、日本では2009年に7価のPCV7(プレベナー)が承認され、2013年11月より13価のPCV13(プレベナー13)が小児の定期接種に使用されています。当初はこのワクチンの成人への接種の免疫原性および安全性に関して議論があったが、ワクチン型市中肺炎(ワクチンに含まれる血清型の肺炎球菌に起因する市中肺炎)の初回発生に対する効果、非菌血症性・非侵襲性ワクチン型市中肺炎(ワクチン型肺炎球菌による肺炎であるものの,血液中あるいは通常無菌である身体部分からワクチン型肺炎球菌が検出されない肺炎)の初回発症への予防効果が証明されたため、日本でも2014年6月よりPCV13は65歳以上の高齢者に対しても接種可能となりました。
 2014年1月に厚生労働省の厚生科学審議会第4回予防接種・ワクチン分科会では小児に対する肺炎球菌ワクチンと同様に成人に対する肺炎球菌ワクチンも自治体が行う定期予防接種に加えることを決定しました。

              

                    

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