抗血栓薬について(その1)
はじめに
超高齢化社会の到来や生活様式や食生活の変化から、虚血性心疾患や脳梗塞などの動脈硬化症や心房細動、深部静脈血栓症などの患者さんが増えてきています。このため、抗血栓生薬である抗血小板薬や抗凝固薬を服用している患者さんが増えてきています。
Ⅱ 抗血栓薬の位置づけ
抗血栓薬には、主に冠動脈疾患や脳梗塞といった非常に流速の早い血流における血栓予防に用いられる抗血小板薬と、主に左房内の血流または静脈内という比較的血流の遅いところにできるフィブリン血栓の抑制のために用いられる抗凝固薬の二種類があります。
抗血小板薬は、従来から用いられてきたアスピリンと、冠動脈疾患で用いられるステント治療の普及により主流となってきたP2Y12阻害薬に大きく分かれます。このP2Y12阻害薬には副作用が殆どないけども即効性が若干劣るクロピドグレル(プラビックス錠75mg)と、即効性があり急性心筋梗塞などに非常に有効とされている、より強力な作用をもつプラスグレル(エフィエント3.75mg)あります。虚血性心疾患、特にカテーテル治療後には、アスピリンとクロピドグレルを併用する抗血小板薬2剤併用療法が行われます。
抗凝固薬には、従来より使われてきたワルファリンとDOAC(直接経口抗凝固薬)があります。
ワルファリンは安価である反面、食事の影響や薬剤の相互作用があるため、定期的に凝固能を検査しながら用量を細かく調整する必要があり、日常臨床での使用には難しい側面があります。それに対してDOACは、一定の用量を投与するだけでよく、ワルファリンに比べて投与方法が容易ですが、薬価が高いというデメリットと高度な腎機能障害があると使用できないというデメリットがあります。
Ⅲ 抗血小板薬について
血管内皮が損傷すると、損傷部位に露出したコラーゲンに血小板が粘着します。血小板はコラーゲンやその他の外部刺激に反応して活性化され、粘着や凝集を生じるだけでなく炎症促進作用もあるため、動脈硬化病変の形成に大きな役割を果たしています。
1)バイアスピリン錠100mg(一般名:アスピリン)
鎮痛薬としての歴史は古く紀元前から使用されています。大腸癌予防効果も注目されています。作用持続時間は7~10日。
2)プラビックス錠75mg(一般名:クロピドグレル)
副作用が少ないのが特徴ですが、効果発現が遅く、遺伝子多型により効果のみられない人もいます。作用持続時間は8~10日。
3)エフィエント3.75mg(一般名:プラスグレル)
遺伝子多型の影響が殆どなく、効果の発現が早い。作用持続時間は7~10日。
)プレタール錠50mg(一般名:シロスタゾール)
出血の合併症が少ないのが特徴。作用持続時間は48時間。血管拡張作用があります。
5)ロトリガ粒状カプセル2g(一般名:イコサペント酸;EPA)
サプリメントとしても販売されています。作用持続時間は7~10時間。
6)プロサイリン錠20μg(一般名:ベラプロストナトリウム)
血管拡張作用が強いため、末梢血流障害治療に用いられます。作用持続時間は血中濃度に依存します。
7)アンプラーグ錠100mg(一般名:サルボグレート)
血管収縮抑制作用があるため、末梢血流障害治療に用いられます。作用持続時間は血中濃度に依存します。
8)オパルモン錠5μg(一般名:リマプロストアルファデクス)
軽度の血管拡張作用があり、脊柱管狭窄症への治療効果もあります。作用持続時間は3時間
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