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2020年12月28日

放射能の基礎知識(その2)

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Ⅲ 放射線の単位

ベクレルが放射線を出す側の単位であるのに対して、放射線をどれだけ受けたかを表す単位にはグレイ(Gy)とシーベルト(Sv)があります。グレイは放射線を受けた物質が吸収したエネルギー量に関する単位で、吸収したエネルギー量(J)を重量(Kg)で割った値で、放射線の人体影響を評価する際に用います。
 シーベルトは、放射線の量を人体への影響を考慮して表す単位で、主にはがんのリスクがどれだけ増えるかを示していて、放射線防御の目的で用いられます。シーベルトで表される線量には、臓器当たりの線量を示す等価線量と、全身分に換算した実効線量などがあります。
 実際に、シーベルトを求める場合は、物理的線量(ベクレルやグレイ)に、ある仮定に基づく係数をかけて計算します。放射線の線質の違いを考慮するための放射線加重係数や、臓器や組織の放射線感受性を考慮するための組織加重係数は、国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告しています。

Ⅳ 放射線の健康被害
 
細胞に放射線が当たると、DNAが損傷することがありますが、その大部分は酸素により単時間に修復されますが、修復不能や誤修復を起こすものもあります。
 DNA損傷が致死的な場合、細胞死を起こします。相当数の細胞が細胞死を起こすと、その細胞が構成する臓器や組織の機能に影響を及ぼし、例えば、皮膚障害や造血能低下、胎児への影響、白内障などを引き起こします。こうした影響は、確定的影響と呼ばれます。確定的影響の特徴は、これ以上浴びると影響が生じるがこれ以下では生じないという「閾値」が存在する点で、比較的多量の放射線を一度に浴びた場合に生じます。
 確定的影響が生じるかどうかは、基本的には一度に受けた放射線量(グレイ)で評価します。放射線への感受性は臓器により異なりますが、閾値の最も低いものは、男性の一時的不妊と胎児影響で、0.1Gyです。胎児の場合は妊娠周期によっても影響が異なりますが、妊娠初期に一度に0.1Gy異常の放射線を受けると流産することがあります。安定期までの時期に放射線を受けると、発生・発達中の器官に異常が生じることがあり、特に、大脳が活発に発達している時期(妊娠8~15週)に被爆すると、精神発達遅滞の危険性があります。
 DNA損傷が非致死的な場合は、DNA情報の変化が突然変異として残ることがあり、遺伝性影響やがんの原因となります。この影響は閾値がなく、放射線の線量増加と共に影響の発生頻度が増加すると仮定されていて、確率的影響と呼ばれています。なお、ヒト集団では遺伝的影響は観察されておらず、単位線量当たりのリスクの増加発がんに比べて、遙かに小さいとされています。

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