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2019年10月15日

新しい糖尿病の薬ーインクレチン(その2)   

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Ⅲ 糖尿病とインクレチン
 
GLP-1とGIPは食事をすると小腸から活性型ホルモンとして分泌された後、蛋白分解酵素のDPP4(dipeptidyl peptidase 4)で速やかに分解され、不活化されます。このためGLP-1とGIPの半減期は1~2分と極めて短いものになっています。
 糖尿病患者では正常な人に比べて、GIP分泌は変わりがないのに比べてGLP-1分泌が低下していることが知られています。GLP-1にはインスリン分泌を促進するという働きばかりでなく、血糖値を上げる作用のあるホルモンであるグルカゴン分泌を抑制したり、食欲を抑えて体重減少をもたらしたり、インスリン抵抗性改善作用もあることが判ってきています。このため、インクレチン関連薬が日常臨床の場で使用可能になることが長いこと待ち望まれていましたが、インクレチンの作用時間が短いことが最大の問題点でした。

Ⅳ GLP-1受容体作動薬の発見
 
アメリカのアリゾナの砂漠に棲んでいるアメリカ毒トカゲという体長40㎝にもなる大トカゲが今回の新しい糖尿病薬発見の立役者でした。このトカゲは砂漠に棲んでいるものですから、一年間に数回しかえさを食べることができません。普通、私たち動物は長いこと使用しない器官の機能はします。従って、年に数回しかえさを食べないこのトカゲの食物の消化機能やインスリン分泌能は低下しているはずなのに、このトカゲは全く問題なく食物を消化したり、インスリンを分泌したりしているのです。この秘密を調べた結果、このトカゲの唾液に消化機能を正常化させたり、GLP-1に構造がよく似た物質が含まれていることが判りました。アメリカのイーライ・リリーという製薬会社の研究室がこのトカゲの唾液に含まれるGLP-1類似物質を製品化することに成功しまし、これがGLP-1受容体作動薬ともGLP-1アナログとも呼ばれている新しい糖尿病薬です。しかし、この薬は注射薬ですから、インスリン注射と同じように抵抗を感じる患者さんも少なくありません。この欠点を補うために開発されたのが、DPP4阻害薬です。

Ⅴ DPP4阻害薬
 
インクレチンであるGLP-1やGIPはDPP4とういう酵素で速やかに分解されてしまうため、その作用が1~2分以内という短時間になってしまうのですが、この酵素の働きを抑えてしまえば、活性型のGLP-1が分解を受けることなく長時間その作用が持続するようになります。今回新しく開発され、臨床で使用できるようになったのが、このDPP4阻害薬です。このお薬は内服薬という利点があり、一般に広く受け入れられやすいのですが、その血糖低下作用は注射薬であるGLP-1受容体作動薬に比べると少し弱いようです。但し、低血糖を起こすことがないお薬ですから、2型糖尿病患者さんで広く用いられるようになると予想されています。

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