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2019年10月7日

新しい糖尿病の薬ーインクレチン(その1)

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Ⅰ はじめに
 
現在の2型糖尿病の治療では、スルフォニル尿素薬(SU薬)、ビグアナイド薬(メトホルミン)、α-グルコシダーゼ阻害薬、インスリン抵抗性改善薬、速効型インスリン分泌刺激薬などの作用機序の異なる様々な内服薬が用いられています。これらの薬剤を駆使してもなお血糖コントロールが不良な場合はインスリン治療へと移行していくのが、これまでの一般的な2型糖尿病治療方法といえます。
 今回、従来の経口薬とは異なる作用機序を持った新しい糖尿病治療薬が開発され、一般に臨床使用できるようになりました。これはインクレチン関連薬とも呼ばれ、内服薬と注射薬の2種類があります。

Ⅱ インクレチンとは
  
ヒトが食事をすると血糖値が上昇します。この血糖値の上昇に呼応して膵臓のβ細胞からインスリンが分泌されて、血糖値が必要以上に上昇しないようにコントロールしています。この血糖値の上昇に応じて分泌されるインスリン量が、栄養素を経口的に投与して消化管を経たときの方が、栄養素を直接経静脈的に投与したときよりも、より多くのインスリン分泌を促すことが知られていました。これを「インクレチン効果」と呼んでいます。この「インクレチン」と呼ばれている物質が、最近小腸の腸管から分泌されるホルモンであることが明らかにされました。また、このインクレチンには、小腸上部のK細胞から分泌される「GIP(glucose-dependent insulin- otropic polypeptide)」と、小腸上部のL細胞から分泌される「GLP-1(glucagon-like peptide-1)」の2種類あることも明らかにされました。さらに多くの研究の結果、GIPとGLP-2には多くの作用があることが明らかにされました。

 GLP1                                            
・小腸下部のL細胞から分泌される
・インスリン分泌を血糖値の上昇に応じて増強する
・グルカゴン分泌を血糖値の上昇に応じて抑制する
・胃からの排出を遅らせる
・食欲を抑え体重を減少させる
・膵臓のβ細胞を増殖する

GIP
・小腸上部のK細胞から分泌される
・インスリン分泌を血糖値の上昇に応じて増強する
・グルカゴン分泌の阻害は不明
・胃からの排出を遅らせる効果は僅か
・脂肪細胞を増殖させ肥満をもたらす
・膵臓のβ細胞を増殖する

 これらの作用の違いから、糖尿病患者にとって好ましい作用を多く持つGLP-1を「善玉インクレチン」、肥満をもたらすGIPを「悪玉インクレチン」と分類することもあります。

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