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2016年8月16日

歩行の科学(その2)

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Ⅲ 歩行時の筋肉活動
 
 ここで歩行時の筋肉活動について考えてみましょう。
 歩行時の筋肉活動は、片側の下肢で体重を支持しなければならない立脚相での筋肉活動が重要となります。立脚相での筋肉活動は、踵接地から立脚中期まで(抑制期)は、体重支持と安定性のために働き、立脚中期から踵離地まで(推進期)は、前方への推進力として働きます。
抑制期では体重支持と重心移動に伴う衝撃吸収のために筋肉活動が最も高くなります。この時、体幹、股関節、膝関節、足関節の筋肉活動は、前方への体重移動を制動しながら、身体のバランスを保つために前方・側方・垂直方向の重心の移動をコントロールしています。
 歩行時の側方安定性のためには、股関節にある中臀筋が重要な役割を果たします。中臀筋の機能低下は、立脚相での骨盤の側方動揺(立脚側)と傾斜(遊脚側へ下降)をもたらして、股関節への負担を増加させます。また、骨盤傾斜による体幹の傾きを、腰椎を立脚側に傾けることで代償するために、腰椎への負担が増加するため、これが腰痛症の原因となります。
 歩行時の膝関節(大腿ー脛骨関節)には、体重の三倍もの力が加わるといわれています。これらの荷重に対する支持、衝撃吸収には、膝を曲げた状態での膝関節のコントロールが必要となり、主に大腿四頭筋、ハムストリングがその役割を担っています。これらの筋力低下や疲労による機能低下は、体重支持、着地時の衝撃吸収能力の低下をきたすため、膝関節痛などの骨・関節障害の原因となります。
 下腿(膝から下)の筋肉は、足関節背屈筋である前脛骨筋が歩行周期を通して活動して、立脚相での足関節安定性と遊脚相でつまずかないようにするための足の円滑な運びを維持しています。足関節底屈筋である下腿三頭筋は、主に立脚相推進期に推進力として活動していますが、足関節の安定性にも関与しています。
 この他に、長・短腓骨筋、後脛骨筋などが足関節の安定性に関与していて、これらの筋力低下や機能不全は歩行時の捻挫やつまずきの原因となります。
 歩行は単純な動作の繰り返しで、一歩毎の負荷は小さいものの、これらの負荷の蓄積は障害発生の要因となります。ウォーキング開始時には、筋力低下や筋力バランスのチェックなどの傷害予防への配慮が必要となります。また、ウォーキング中の姿勢の観察、分析も重要です。歩行周期の各相別に自分自身の姿を観察、分析すると理解しやすいと思います。
 

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