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2016年12月27日

水中運動療法について(その2)

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Ⅲ 水の特性と運動
 
 水の物理的な特性として、浮力、抵抗、静水圧などがあげられます。これらの水の物理的特性を上手に利用することで、エネルギー消費の高い全身的な運動が容易に行えるのです。
1)浮力
 水中では浮力の作用により体重が減少し、荷重に伴う痛みを軽減した状態でのダイナミックな運動が可能となります。また、浮力により抗重力筋の活動が低下することで、全身の緊張が軽減して、リラクゼーション効果が得られます。さらに、浮力と運動方向を考慮することで、解除運動や抵抗運動が可能となります。
 水位と浮力による体重免荷量の関係は、首まで水に浸かると体重の約90%が免荷され、胸まで浸かると約70%、臍まで浸かると約40〜50%、股まで浸かると約40%、膝まで浸かると約10%、それぞれ免荷されます。
 プールでは水位のコントロールが難しいことがありますが、これらの条件を考えて適切な水位を選ぶことが大切です。

2)水の抵抗
 水中で運動すると、身体にはさまざまな抵抗が加わります。水の抵抗には、造波抵抗(移動する方向前面に生じる抵抗)、渦抵抗(移動する身体の後方に生じる渦)、粘性抵抗などがあります。これらの抵抗は、運動速度の二乗に比例するため、水中での運動は等速性運動と同じ効果が得られます。この特性を利用することで、個々の筋や全身的な抵抗運動を行うことが容易になります。
 関節運動に伴う筋出力は、運動中の間接の角度(筋肉の伸び具合)により変化します。等速性運動では、変化する筋出力に応じて抵抗も変化するため、効率のよい運動が可能となります。例えば、運動中に関節の痛みや疲労により運動量が低下すると、水中での抵抗量も減少するため、無理なく運動が継続できるのです。

3)静水圧
 水中では水深に応じた静水圧が加わります。この静水圧は水深1メートルにつき約0.1気圧上昇します。身体に加わる圧力は水深に比例し、全ての方向に均等に加わります。これらの特性から、水中では下肢末梢循環の促進や関節の安定性を高める効果が得られるのです。
 脇の下レベル以上の水深では、静水圧により腹部臓器が押し上げられるため横隔膜が挙上し、さらに胸郭全体にも静水圧が加わることで全肺容量は減少します。このため、水中での運動で吸気筋への負荷が増大して、胸郭の筋力および可動性の改善が得られます。

Ⅳ これからの水中運動
 
 最近、流水を用いた水中運動が行われるようになりました。流水装置が内蔵された水中トレッドミルや運動浴槽を利用するものと通常のプールで移動式の流水装置を用いる方法があります。コストの問題で、現段階ではこれらの装置は一般的ではありませんが、水中トレッドミルでは、個人個人に合わせた水深、水温、運動強度などの設定が容易であり、糖尿病患者さんにとって最適な運動療法を処方することが可能となります。
 今後の流水装置の普及と流水運動療法の確立が期待されます。

Ⅴ 水中運動とカロリー消費
 
 水中にいると、水温が体温よりも低いために、体から大量の熱が奪われます。このため、熱エネルギー消費の増加が単純な運動エネルギーの消費に追加されます。このため、水中運動はわずかな運動でも大きなエネルギー消費を得ることができるというメリットがあります。

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