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2022年12月12日

無症候性脳梗塞について(その2)

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IV 大脳白質病変

 大脳白質病変は、主に虚血性変化で、厳密には脳梗塞ではありませんが、近年、脳小血管病として扱われ、無症候性脳梗塞と同様に脳卒中並びに認知機能障害発症の高リスク群とされています。大脳白質病変は脳室周囲病変と深部皮質下白質病変に分類されます。大脳白質病変と脳卒中の関連を外国の研究では、高度な脳室周囲病変がある症例で4.7倍,高度な深部皮質下白質病変がある症例では3.6倍脳卒中になるリスクが高いことが明らかにされています。我が国の人間ドックでの検討でも、大脳白質病変がある症例ではその後の脳卒中発症が有意に高いと報告されています。
 また大脳白質病変と認知情動機能との関連では、認知障害、うつ病、感情障害、注意障害、無気力などとの関連があるとされています。大脳白質病変があると脳卒中危険因子と独立して認知症発症と関連し、脳梗塞患者での発症後30日後の運動機能や認知機能の低下の程度と関連しているとされています。 
 大脳白質病変でも、無症候性脳梗塞と同様最大の危険因子は高血圧であり、高血圧非治療群に比べ、高血圧治療群では大脳白質病変が有意に軽度であるとされています。また、糖尿病、メタボリック症候群、慢性腎臓病、血中総ホモシステイン高値例、喫煙者も大脳白質病変の高リスク群とされています。そのため脳卒中治療ガイドライン2015では治療可能な危険因子、特に高血圧症の積極的治療を考慮し,これ以外のリスクコントロールを考慮しても良いとしています。

大脳白質病変について(脳卒中治療ガイドライン2015による)

1 大脳白質病変は主に虚血性変化であり、特に高度な脳室周囲高信号域や深部皮質下白質病変を有する例は脳卒中および認知機能障害発症の高リスク群であり、治療可能な危険因子、特に高血圧の積極的な治療を考慮してもよい。 

2 糖尿病、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病,血中総ホモシステイン高値例、喫煙者は大脳白質病変の高リスク群であり、大脳白質病変の増悪防止と脳卒中の発症予防上、その是正を考慮してもよい。

3 抗高脂血症薬であるスタチンが大脳白質病変を抑制する可能性があり、投与を行うことを考慮してもよい。

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