環境と糖尿病(その2)
Ⅲ 母親の生活習慣や乳幼児期の環境が児の将来に与える影響
胎生期や新生児期の生活環境が成人期での疾患の発症リスクに影響すると考えられています。成人の糖尿病発症リスクは、出生時体重が2,500g未満の低出生時体重児では1.32倍、4,000g以上の高出生時体重児では1.27倍となっています。我が国では低出生時体重児の割合は近年増加しており、1980年には4.2%だったが、2010年には9.6%になりました。その原因の一つに妊婦の痩せがあり、胎児の子宮内環境への影響が示唆されています。胎内期から新生児期の栄養環境によって、糖代謝が変化すると想定されています。
Ⅳ 1型糖尿病
1型糖尿病も世界的に発症率が増加しています。1型糖尿病は膵β細胞が特異的に破壊される疾患で、ほとんどの症例に自己免疫機序の関与が推定されています。発症率には国家、地域、人種間で差があります。発症時期には季節性があり、一卵性双生児での1型糖尿病の一致率は30~40%です。劇症1型糖尿病は約70%に感冒様症状が先行します。1錠型糖尿病の発症には、ウイルス感染や食物などの環境要因の関与も想定されています。
1型糖尿病と食事の関連については多くの報告があります。ビタミンDは、フィンランドからの報告では、多量投与で1型糖尿病の進展リスクが軽減されたとか、ビタミンDを補充した幼児で1型糖尿病の発症頻度が低下したとあります。牛乳について、インスリンとの交差反応が見いだされ、1型糖尿病の誘因になるとの議論がありましたが。結論は出ていません。そのほか、出生時の過体重や小児期の体重増加が1型糖尿病のリスクであるとの報告もあります。
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