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2021年4月5日

男性更年期障害(LOH症候群)(その1)

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Ⅰ はじめに
 
男性更年期障害の低テストステロンによる症候であるLOH(late onset hypogonadism sy ndrome)症候群は2型糖尿病に高頻度にみられます。テストスロンは糖代謝、脂質代謝に関与するだけでなく、テストストロン低値は、糖尿病、メタボリック症候群のリスク因子でもあります。テストステロン補充療法は筋肉量を増し、耐糖能も改善します。LOH症候群は、弾性糖尿病患者の生活の質や健康増進の上で重要な疾患ともいえます。

Ⅱ テストステロンの作用と生活習慣病
 
テストステロンは男性ホルモンとも呼ばれています。一次性徴である体内での外性器形成、および思春期における二次性徴の発現、すなわち性衝動の発来と精子形成にテストステロンは必須です。一方、テストステロンとその代謝産物の作用は数多くあります。成人では、テストステロンは筋肉の量と強度を保つのに必要であり、また内臓脂肪を減らし、造血作用を持ち、性欲を起こします。テストステロンは集中力やリスクをとる判断をすることなどの高次精神機能にも関係しています。一方、テストステロン値が低いとインスリン感受性が悪くなり、メタボリック症候群になりやすく、性機能、認知機能、気分障害、内臓脂肪の増加、筋肉量の減少、貧血、骨密度の減少を生じて男性の生活の質(QOL:quality of life)を著しく低下させます。
 テストステロンは精巣のライディッヒ細胞でコレステロールから産生されます。視床下部は性腺刺激ホルモンGnRHを産生し、GnRHは下垂体で黄体ホルモンLH、卵胞刺激ホルモンFSH産生を刺激します。LHは精巣のライディッヒ細胞でテストステロン産生を刺激し、FSHは精巣のセルトリ細胞での精子形成を促進します。
 テストステロンは体内に普遍的に存在します。血液中では98%はタンパク質に結合し、その約60%はアルブミンと緩く結合し、40%は性ホルモン結合タンパクと強く結びついています。タンパクに結合していない2%はフリーテストステロンと呼ばれています。
 加齢に伴い精巣でテストステロンを産生するライディッヒ細胞が減少すること、あるいは視床下部でのGnRH分泌量が減少することにより、テストステロンは低下していきます。40才での2 ~5%、70才の30~70%でテストステロンの低下がみられます。テストステロンの低値はメタボリック症候群、心血管疾患、糖尿病、呼吸器疾患のリスクを高め、寿命に関係することが知られています。加齢男性でのテストステロン減少は、抑うつ状態、性機能低下、認知機能の低下、骨粗鬆症、心血管疾患、内臓脂肪の増加、インスリン抵抗性の悪化、HDLの低下、コレステロールとLDLの上昇に寄与し、メタボリック症候群のリスク因子になります。
 加齢に伴いテストストロン値が低下することによる症候をlate onset hypogonadism(LOH症候群、加齢性腺機能低下症)と呼びます。50代、60代、70代、80代でおおよそ12、20、30および50%がLOH症候群に該当します。したがってLOH症候群は実は男性に極めて多い疾患であるといえます。       

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