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2017年1月10日

睡眠時無呼吸症候群について(その2)

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Ⅲ SASの病態と症状・症候
 
 1)呼吸障害
 
 無呼吸は低酸素血症と呼吸性アシドーシスをもたらします。低酸素血症は肺血管の攣縮(→肺高血圧症、心不全)、大循環血管の攣縮(→高血圧症)、多血症(→脳梗塞)、心臓の興奮性増加(→不整脈)をもたらします。

2)睡眠障害
 
 SASにより引き起こされる、頻回の覚醒、睡眠の連続性の中断、深睡眠の欠如、REMサイクルの欠如などの睡眠の質の低下は、昼間の眠気、集中力欠如、全身倦怠感の原因になります。SAS患者は眠気のために交通事故を7倍も起こしやすいというデータもあります。スリーマイル島やチェルノブイリの原発事故、巨大タンカー(Exxon Valdez号)の座礁・原油流出事故、スペースシャトルChallenger号の爆発事故などは、いずれもヒトの眠気による不注意が招いたものといわれています。日本でも新幹線運転手がSASのため事故を起こしたことは記憶に新しいことと思います。

3)いびき
 
 SAS患者の93%は習慣性のひどい「いびき」をかきます。患者さん自身は「いびき」自体を自覚することはありませんが、周囲から忌み嫌われ、家庭生活の破綻や社会生活への不適応を招き、患者さんを苦しめます。

4)長期的な影響
 
 SASは毎晩首を絞められているようなものです。呼吸障害と睡眠障害のストレスは、アドレナリン、コルチゾールなどのストレス関連ホルモンの分泌過剰を招き、睡眠障害や肥満によるインスリン抵抗性が誘発される結果、高血圧、高脂血症、糖尿病がもたらされ、動脈硬化が進行して、SAS患者の寿命は短くなってしまうのです。

Ⅳ SASの治療
 
 甲状腺機能低下症などの原因疾患があれば、まずその治療をします。肥満があれば減量します。それだけでSASが消失することがあります。軽〜中等症のSASは側臥位で眠ることで無呼吸を減らすことができます。アデノイドや扁桃肥大などの耳鼻咽喉科的な異常があれば扁桃摘出などの治療を行います。
 現在最も確実な治療法は、CPAP療法です。顔面に密着させた鼻マスクからエアーコンプレッサーで空気を持続的に送り込み、上気道を陽圧に保って、気道の虚脱・閉塞を防ぐ方法です。この方法は、SASの原因を問わず有効で、健康保険の適応もあり、在宅で行えます。

Ⅴ 早期発見・早期治療を
 
 SASは自分では分かりませんが、奥さんなどに指摘されて分かる場合がほとんどです。イビキが止まり、息もしていなければSASです。

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