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2025年2月3日

睡眠障害の重要性(その3)

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Ⅲ 睡眠障害の種類とその特徴

2)原発性睡眠障害

(1)睡眠時無呼吸症候群
 睡眠時に生じる呼吸障害の内、最も重要なものとして睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)があげられます。これには、上気道の閉塞による閉塞性呼吸障害を主体とするOSASと心不全や脳障害による中枢機序の関与による呼吸努力の一過性停止による中枢性呼吸障害を主体とする中枢性SAS(central sleep apnea syndrome:CSAS)があります。夜間に反復する動脈血酸素飽和度低下と覚醒反応により、徐波睡眠の減少および睡眠の分断化が生じて、不眠、睡眠中の窒息感の他、夜間頻尿、日中の眠気や倦怠感、抑うつならびに起床時頭痛など、様々な症状を引き起こします。
 OSASの発症には肥満、加齢、顎顔面形態異常(小下顎、下顎後退)ならびに耳鼻科的要因(狭咽頭腔、長口蓋垂ならびに扁桃肥大)などが関連していますが、日本人では欧米人に比べて肥満の割合は低いのですが、SASの有病率は欧米と同等に高く、体重増加に対する上気道の脆弱性や顎顔面形態異常の関与が考えられています。また、女性は若年の内は少ないのですが、閉経後に罹患が多くなります。
 OSASは、後述する睡眠障害で発症する高血圧、糖尿病、肥満、心血管疾患ならびに脳血管障害のより強いリスクとなります。また、中等症以上のOSASは、脳血管障害の独立した危険因子となる可能性があります。

(2)レム睡眠行動障害
 レム睡眠行動障害(rapid eye movement sleep behavior disorder:RBD)は、レム睡眠期に生じる睡眠時随伴症です。睡眠中に争ったり、逃れようとします。多くは悪夢に関連した行動異常、夢の行動化が起こり、時には患者自身やベッドパートナーが負傷する場合もあります。夜間の異常行動を疾患の鑑別として、てんかん、夜間譫妄ならびに低血糖を含む代謝障害などがあげられますが、鑑別点としては、原則として、RBDの場合は刺激による覚醒は速やかで、夢の再生が可能です。しかし、てんかん、夜間譫妄ならびに意識障害の場合には、刺激による覚醒は困難で、夢の再生も不可能です。
 特発性RBDは、中高年の男性にみられます。パーキンソン病関連疾患を含む神経変性疾患を発症する例が報告されています。

(3)レストレスレッグス症候群
 レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome:RLS)は、夜間安静時に、火照ったり虫が這ったりするような、何ともいえない異常感覚により、脚を動かしたくてたまらない衝動のために、不眠、特に入眠障害や中途覚醒を引き越します。脚を動かすことによりその症状は軽快します。
 病態として、脳内貯蔵鉄の欠乏とその利用障害、A11ドパミン神経系の機能異常の他、遺伝的要因があるとも考えられています。
治療は、まず非薬物治療として、睡眠衛生の改善、就寝時にカフェイン、ニコチンならびにアルコール摂取を控えることから始めます。SSRI、三環系抗うつ薬ならびに抗精神病薬などの薬剤がRLSを惹起している場合があるので、服薬の確認も必要となります。鉄欠乏性貧血が明らかな場合は鉄剤の補給を行います。薬物治療としてはドパミン作動薬が第一選択薬です。

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