再診の方は原則「予約制」となります。
052-930-1311
お知らせ
2025年2月17日

睡眠障害の重要性(その4)

0

Ⅳ 睡眠障害が基盤となる生活習慣病
 
米国での大規模な疫学調査では、適切な睡眠時間には個人差があるものの、日常の睡眠時間と死亡率との間にはU字型の関係があり、6~7時間の睡眠をとる者の死亡率が最も低く、それ以下でもそれ以上でも死亡率は上昇します。これは、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常ならびに肥満度の間にもこのような関係があります。すなわち、6~7時間の睡眠をとる者の血圧が低く、糖尿病、脂質代謝異常も少なく、そして肥満度が低いのです。

1)高血圧
 睡眠障害では、自律神経系を介して血圧へ影響を及ぼします。一般に、覚醒状態から睡眠に移行すると、交感神経の活性は低下、副交感神経優位となり、血圧は心拍低下に伴い低下します。また、呼吸数も減少して身体の負担を減らします。これらの交感神経活動の低下が不眠や断眠により妨げられると、睡眠中の血圧上昇に繋がり、さらには日中の血圧上昇を引き起こす要因となります。

2)糖尿病
 糖尿病の発症リスクも、睡眠時間が7~8時間の者に比べて6時間以下や9時間以上の者では有意に高まるとされています。また、中年男性では、不眠があると糖尿病発症の危険性が高まるともいわれています。一方、病態生理学的には、満腹の信号であるレプチンの血中濃度は、空腹の信号であるグレリンの血中濃度は睡眠時間が短い者ほど高いことが知られています。これらの事実は、睡眠と食欲やエネルギー代謝の間に密接な関係があることを示唆していて、睡眠が食欲や肥満を介して糖尿病の発症に影響を及ぼしているものと考えられています。

3)脂質代謝異常と肥満
 睡眠不足から、日中の居眠り・過眠が生じて運動不足となります。また、睡眠不足は食欲増加と脂質代謝の低下を来し、脂質代謝異常と肥満を来し、これがまた運動不足、肥満の悪循環をきたすことが知られています。

4)認知症
 慢性的な睡眠障害が認知機能の低下を招き、長期的に認知症発症のリスクとなるとの報告があります。睡眠障害のない者と比較して、睡眠障害がある者は、全ての認知症の発症リスクが高いとされ、睡眠時無呼吸に代表される睡眠呼吸障害はこれらをさらに加速させます。
 しかし、自覚的睡眠障害はその後の認知症発症に関連がなかったとの報告もあり、結論は得られていません。

一覧に戻る
0
ページトップへ
ご予約はこちらから
tel 052-930-1311 FAX 052-930-1310
再診の方は、原則「予約制」となります。※急患や初診患者はこの限りではありません
地下鉄東山線千種駅5番出口から徒歩1分
地図を見る
診療時間と休診日