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2021年5月17日

糖尿病とがん(その1)

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Ⅰ はじめに
 
近年、2型糖尿病患者ではがんリスクが高まることが注目されています(表1)。糖尿病とがんは、その発症と予後に生活習慣の影響を大きく受ける疾患です。中でも肥満・喫煙・運動不足・アルコール多飲などの生活習慣が糖尿病とがんの共通因子としてまず挙げられます。糖尿病では心血管疾患による死亡が増加しますが、がん死の多いわが国では、糖尿病に置いてもがんは死亡の主因ですが、アメリカではがんは糖尿病患者の死因の第2位(男性)・第3位(女性)です。ちなみに、世界的にはがんは死因の第2位、糖尿病は死因の第12位です。一方、糖尿病でがんを合併すると血糖コントロ-ルが悪化することも少なくありません。

表1   糖尿病と臓器別がんリスク(健常人を1としての危険率)
    
発がん 全般 1.10 男性 1.14 女性 1.18
     肝臓がん 2.50  子宮がん  2.10  膵臓がん  1.82  
結腸直腸がん  1.30 膀胱がん  1.24   乳がん  1.20    前立腺がん  0.84 
がん死 全般 1.16 男性 1.10 女性 1.24
                  
 この様に相互関連性の高い疾患として糖尿病とがんは近年着目されてきていて、2010年にアメリカ糖尿病学会とアメリカがん学会は、アメリカの他の内分泌学組織・ヨーロッパ糖尿病学会・ヨーロッパ腫瘍学機構の口演の元に糖尿病とがんの関連性に関するコンセンサスレポートを発表しました。

表2   アメリカ糖尿病学会とアメリカがん学会によるステートメント(抜粋)
 
・2型糖尿病では、多くの臓器別がんのリスクが増加するが、前立腺がんのリスクは有意に低い。また、糖尿病患者ががんを合併すると非糖尿病者よりも予後不良である。
・両者の関連性には高インスリン血症・高血糖・肥満・炎症・糖尿病治療薬など様々な因子が複雑に関与している。
・糖尿病患者は適切なガン検診を受けるべきである。
・多くの糖尿病患者では、がんリスクに応じて糖尿病治療薬選択をすべきではない。

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