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2024年4月8日

糖尿病と心不全(その1)

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Ⅰ はじめに

  高齢化や心筋梗塞患者を含む収縮不全患者の治療成績向上などにより、心不全患者が激増していています。一方、生活習慣の欧米化により、ここ半世紀ほどで糖尿病患者も激増しています。その結果、心不全を合併する2型糖尿病患者が増加していますが、これは2型糖尿病と心不全という二つの病態が単に併存しているわけではありません。2型糖尿病は心不全の独立した危険因子で、その発症に関与しています。また、2型糖尿病と心不全が合併すると、全死亡や血管死亡が増加するハイリスク群となります。2型糖尿病では、心不全を合併した場合の予後が不良であることから、糖尿病治療では血糖コントロールだけではなく、心不全の診断及び治療を行うことが最優先の課題といえます。 

Ⅱ 糖尿病と心不全の合併は大きな問題 

1)2型糖尿病患者には心不全の合併が多い 
  
  2型糖尿病では、心不全は最も多い合併症のひとつであり、2型糖尿病は心不全の独立した危険因子です。2型糖尿病の初回入院の最も多い原因は心不全だという報告もあります。糖尿病患者の心不全発症リスクは、健常者に比べて男性で2倍、女性では5倍を超えるという疫学調査もあります。2型糖尿病の櫂病期間が心不全発症に関係している可能性があります。 
糖尿病患者に心不全が多い原因のひとつに、糖尿病は冠動脈疾患危険因子で、心筋梗塞による左室収縮能が低下するということがあります(収縮不全)。しかし、それよりも多いのは拡張不全です。この拡張不全の機序として心筋細胞への糖化物質の蓄積、間質性壊死とコラーゲン過剰形成、カルシウムホメオスタシスの障害、心筋微小循環障害、高インスリン血症による心筋肥大並びに心筋インスリンシグナル伝達の障害が関与するとされています。これらの病態が進行すると、いわゆる糖尿病性心筋症という病態になります。 

2)心不全患者では2型糖尿病の合併が多い 

  反対に、心不全患者への2型糖尿病の合併も多いことが知られています。急性心不全で入院した患者の1/3以上が耐糖能障害を示したとの報告があります。一般人の2型糖尿病の頻度が6~8%とされているのに対して、この比率は高く、心不全の症状が重症になるほど2型糖尿病の有病率は上昇しました。また、症状がある心不全での2型糖尿病の頻度は12~30%ですが、それが急性心不全になるとその頻度が40%に達するとの報告もあります。その原因として、心不全による交感神経の活性化のため、血中遊離脂肪酸が増加し、インスリン抵抗性を亢進させた可能性が指摘されています。 

3)心不全と糖尿病が合併すると重症化し、予後が不良になる 

  心不全を合併する2型糖尿病患者は、健常者に比べて生活の質が低く心不全もより重症化する傾向にあります。2型糖尿病を合併すると心不全による入院は約2倍に増加し、2型糖尿病を合併しない患者と比べると、6分間歩行距離が短く、ピーク酸素摂取量が低下していると指摘されています。2型糖尿病患者では全死亡リスクが1.34倍、入院のリスクを1.35倍に上昇することが報告されています。

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