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2024年8月19日

糖尿病と時間栄養学(その2)

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Ⅲ 食事と体内時計
 
食事や栄養素も体内時計に作用する可能性があることから、時間栄養学という考えが2010年頃から提唱されてきました。夕食にウエイトを置いた食事習慣は肥満になりやすいことは経験的に知られていますが、最近の研究から体内時計のリズムをリセットするためには朝食が重要であり、朝食の摂取時間が遅くなると体内時計のリセットの時間も遅くなることが明らかになりました。また、朝食を摂取することで血糖値が上昇し、インスリンが分泌されて時計遺伝子が発現して、体内時計がリセットする可能性を示唆する研究成果もでています。なお、ここでいう朝食というのは必ずしも朝に摂取する食事ということではなく、1日の中で最も長いインターバルの絶食の後にとる食事という意味で、通常は夜から朝が最も長いため朝の食事ということになります。さらに、体内時計は炭水化物に含まれるインスリンのシグナルによりリセットされますが、たんぱく質が豊富な食事ではIFG-1(インスリン様成長因子-1)やグルカゴンがインスリンに代わってリセットシグナルを惹起することなども明らかになっていて、バランスのとれた朝食をしっかりとることで、体内時計のリズムが整い、質の高い睡眠に繋がると考えられています。
 このように、最近は体内時計に作用する栄養学に関する研究も進み、朝食(長時間絶食後の食事)は体内時計をリセットしやすく、等間隔の等量の食事では体内時計をリセットできないこと、夜遅い食事は体内時計を遅らせ、夜早い食事との分食で解消することなどが分かってきました。また、食事内容としてはインスリンを上昇させやすい食事が体内時計をリセットしやすく、カフェインは体内時計をリセットしやすいこと、高タンパク食でも体内時計はリセットできることなどが明らかになってきました。さらに、菊芋パウダー(水溶性食物繊維)を利用して食事の摂取時間による比較検討を行った結果、夕食時よりも朝食時に繊維分を摂取した方が腸内細菌の多様性が出やすく、24時間の血糖値がより低値を示すことも分かってきました。
 このような研究の結果、肥満を防ぐための食事方法としては、1日2~3回の食事回数を心掛け(6回以上の摂取は避ける)、朝食をしっかりとり、できるだけ早めの夕食により絶食の時間を保つことや、たんぱく質の豊富な食事を摂取することなどが、最近は推奨されるようになりました。
 
Ⅳ おわりに
 
体内時計はインスリン分泌や作用を通じて糖尿病にも影響を及ぼしています。体内時計が乱れることで糖尿病のリスクが高まるのか、あるいは糖尿病の病態が体内時計に悪影響を及ぼしているのか、この両面からの検討が今後期待されます。
 毎朝規則正しく朝食をとることで、体内時計が正常化し肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病などの予防に繋がります。

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