再診の方は原則「予約制」となります。
052-930-1311
お知らせ
2019年6月17日

糖尿病と歯周病について(その2) 

0

Ⅲ 糖尿病と歯周病
 
 糖尿病と歯周病の関係が明らかになったのは、米国アリゾナ州に住む先住民族の子孫であるピマ・インディアンと糖尿病に関する一連の疫学研究の成果によります。ピマ・インディアンは成人の約半数が2型糖尿病を発症する民族として知られています。このピマ・インディアンを対象とした調査で、糖尿病患者では糖尿病でない人に比べて約2.6倍歯周病発症率の高いことが分かったのです。北欧の1型糖尿病患者の調査でも、糖尿病でない人に比べて歯周病がより重症化しているという報告があります。我が国の調査でも、若年者の1型糖尿病では約10%に歯周病がみられたという報告がありますが、同世代の糖尿病でない人たちでは1%程度しか歯周病がみられません。1型でも2型でも糖尿病の罹病期間が5年を越えると歯周病が悪化するという調査結果もあります。
 血糖コントロールが不良な糖尿病では、コントロールが良好な場合に比べて歯周病のリスクは2.9倍高くなるが、血糖コントロールが良好な場合は、糖尿病でない人と比較しても歯周病のリスクに有意差はありません。また、肥満度が高いほど歯周病にかかりやすいという九州大学の研究もあります。
 これとは逆に、歯周病があると糖尿病が悪化するという報告もあります。最近の研究では、糖尿病や心筋梗塞などの心臓病は、その発症と全身の慢性の炎症反応に関係があると考えられています。歯周病による慢性炎症は、ひとつの歯周ポケットが5~6mmだと仮定しても、口腔内全体では手のひらサイズの炎症巣になります。このため、全身にとっては軽微な歯周炎症刺激が加わることで、インスリン抵抗性が増悪して糖尿病状態がさらに悪化すると考えられています。逆に、歯周病を治療すると糖尿病が改善する可能性もあるわけです。

Ⅳ 糖尿病での歯周病治療
 
 糖尿病があろうとなかろうと 歯周病治療内容に大きな差はありません。しかし、全身管理、感染コントロールという観点から、糖尿病患者では少し配慮が必要になります。日本歯周病学会が監修した、糖尿病患者の歯周治療マニュアルにある「慎重な対応を要する糖尿病患者の歯科治療にあたってー危険を避けるために配慮すべき事項ー」を参考に、注意すべき点を考えてみます。

(1)予約時の注意点
1 予約は午前・午後の早めの時間帯にとりましょう(食後から治療まで時間を空けない)
2 治療前には適切な食事をとり、処方薬は確実に内服しましょう
3 血糖コントロールが不良な場合は、前投薬として抗菌薬が処方されることがあります

(2)治療時の注意点
 血糖値の著しく高いとき、尿中ケトン体陽性のときは治療を避けましょう

(3)低血糖発作や高血糖発作に注意しましょう
1 低血糖に備えてブドウ糖などを必ず用意しましょう
2 歯科で使う局所麻酔薬にはステロイドを含んだものがあります。このため、局所麻酔を受けた後、一時的に血糖値が高くなることがあります。ほとんどの場合はすぐにいつもの血糖値まで低下しますが、高血糖が持続するときは主治医に相談して下さい。
3 食事がとられなくなった場合は、速やかに主治医に連絡して指示を仰いで下さい。

(4)全般的な注意点
禁煙が基本です。

一覧に戻る
0
ページトップへ
ご予約はこちらから
tel 052-930-1311 FAX 052-930-1310
再診の方は、原則「予約制」となります。※急患や初診患者はこの限りではありません
地下鉄東山線千種駅5番出口から徒歩1分
地図を見る
診療時間と休診日