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2019年11月11日

糖尿病と結核(その2)  

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Ⅱ  糖尿病患者はなぜ結核に感染し易いのか
 
 糖尿病患者が感染症への抵抗性が低いことはよく知られています。糖尿病患者が感染症に罹りやすいメカニズムとしては、栄養障害、脱水、神経障害、細小血管障害などの非特異的防御能の低下と、免疫機序の低下が考えられています。空腹時血糖値が200mg/dlを超えると、白血球の殺菌能力が低下するとされています。この様なことから、糖尿病患者は結核に罹患しやすいと考えられています。

Ⅲ  糖尿病に合併した結核は重症化しやすい
 
 糖尿病患者では、一般的な感染症と同様に、結核を併発すると重症化しやすいことが知られています。1997年から1999年までの3年間の追跡調査によると、糖尿病患者に合併した結核の病像は、糖尿病がない人に比べて重症と分類される患者が多くみられ、排菌量も多かったとのことです。また、喀痰排出から患者登録までの有症状期間を比べてみると、糖尿病患者が平均2.7ヶ月であったのに、糖尿病でない人の3.3ヶ月に比べて短期間であることが分かりました。この様に、糖尿病患者では有症状期間が短いにもかかわらず、結核の進展が早く、より重症化しやすいことが明らかになりました。

Ⅳ 糖尿病に合併した結核は治療抵抗性
 
 実際に結核治療を行った場合の治療効果を、抗結核薬投与による菌陰性化率で検討したところ、治療開始後3ヶ月目の菌陰性化率は糖尿病がない人では100%であったのに対して、糖尿病患者では93%で、4ヶ月目になって100%陰性化しました。このように糖尿病患者では結核菌の陰性化が遅れることがよくみられるために、厚生労働省健康局は平成21年1月に、「治療開始時に症状が著しく重い場合、治療開始時から2ヶ月を経ても結核菌培養検査の成績が陰転化しない場合、糖尿病、じん肺、HIV感染などの結核の経過に影響を及ぼす疾患を合併する場合、又は副腎皮質ホルモンもしくは免疫抑制剤を長期にわたり使用している場合には、患者の病状および経過を考慮して治療期間を3ヶ月間延長できる」と、治療期間の延長勧告が勧められています。
 糖尿病を合併しているから、治療が成功しないということはありません。しかし、治療中に再度排菌してしまう失敗例や治療中断例が、糖尿病患者の人の中にやや多く見受けられます。
 糖尿病患者は肺結核発病のハイリスク集団であり、また糖尿病患者が肺結核を併発すると、その結核の進展が早く、重症化することが多いことが知られています。
 このため、結核発病の早期発見および患者周囲の人々に結核を蔓延させないために、定期的な胸部レントゲン検査が必要になると同時に、結核感染の明らかな証拠がある患者では、抗結核薬の早期投与を行うことで、結核の発病防止を図ることもじつようになります。
 良好な血糖コントロールを維持することで、結核に罹りやすい高血糖状態にならないことが、全ての基本にあることは再確認したいものです。

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