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2016年5月16日

糖尿病と虚血性心疾患(その2)

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Ⅲ 糖尿病の虚血性疾患の特徴

1)多枝病変が多い
 冠状動脈の動脈硬化の重症度を示す指標として、主な冠状動脈のうちの何本に重症な狭窄(血管の内腔が75%以上狭くなっていること)があるかをみる方法があります。狭窄がある冠状動脈の数により、一枝・二枝・三枝病変と分類し、病変の数が多いほど重症としています。
 この点からみると、糖尿病患者の心筋梗塞では、二枝や三枝の多枝病変が多い、いい換えれば重症例が多いという特徴があります。糖尿病でない人の心筋梗塞では14%の症例が三枝病変だったのに対して、糖尿病患者では32%に三枝病変がみられたという報告もあります。

2)肥満している人ほど虚血性心疾患の危険性が高い
 糖尿病患者の心筋梗塞で重症例が多いということは、虚血性心疾患が発見された時点で、すでに動脈硬化がかなり進んでいるということになります。年齢、性別、高コレステロール血症、糖尿病性網膜症などのいろいろな因子の中で、どの因子が一番関係が深かったかを調べた調査では、肥満歴が唯一虚血性心疾患と関係があったと報告しています。

3)無痛性心筋虚血が多い
 心筋に虚血が生じても、胸痛などの狭心症の症状が出現しないものを無痛性心筋虚血といいます。これは糖尿病でない人にもみられますが、その発生頻度は、糖尿病でない人の17%に無痛性心筋虚血がみられたのに対して、糖尿病患者では69%と、約4倍の頻度を示しました。このことは、心筋虚血の症状がでないために、その発見が遅れ、ひいては治療が遅れて、突然死などの不幸な転帰を招く原因ともなり、糖尿病患者の心筋梗塞の予後が悪い一因ともいえます。

4)心筋虚血の発作の時間が一定しない
 一般的に、心筋梗塞発作や突然死は午前中に多く、その原因として起床後の交感神経機能の亢進が考えられています。人の自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、夜間睡眠中などの安静時には副交感神経が主に自律神経を支配し、昼間の活動期には交感神経が主に働きます。この副交感神経と交感神経の支配の切り替えが行われるのは、起床してから約1時間後だとされています。この時に血圧が急に上昇したりすることが知られていますが、同時に心筋梗塞などの発作も起きやすくなるといわれています。しかし、糖尿病患者の場合は、自律神経障害を合併している場合が多いために、一般にみられる午前中の発作のピークは消失して、ほぼ一日中偏りなく発作がみられるという特徴があります。したがって、いつでも心筋梗塞の発作が起こる危険性があることを忘れてはいけません。

5)予後が悪い
 糖尿病患者の心筋梗塞の予後は、糖尿病でない人に比べて明らかに悪いことがよく知られています。これは太い動脈が詰まったときに血液がバイパスして流れる側副血行も糖尿病患者では高頻度に動脈硬化が進行していているためだといわれています。

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