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2021年1月18日

糖尿病と運転免許(その1)

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Ⅰ はじめに
  
2003年8月6日名古屋市の幹線道路である桜通の納屋橋で、ミキサー車が突然暴走して、歩道にいた3名の女性歩行者をはねました。2名が死亡し1名が重症を負いました。運転していたのは29才のインスリン治療中の1型糖尿病の女性で、事故の原因は低血糖昏睡による意識消失でした。本人は事故を起こす少し前から低血糖になりかかっていることに気付き、補食をしながら運転を続けていたそうですが、事故の直前から意識をなくしたようで、事故のことは覚えていませんでした。1年後に名古屋地裁は、「漫然と運転を続けて三人を死傷させた罪は重い」として禁固二年(求刑禁固三年六月)の実刑判決を下しました。
 2010年12月30日四日市市羽津中の近鉄電車の踏切で、踏切待ちをしていた自転車の男性3人が車に追突され、押し出された踏切内で急行電車にはねられ、2名が即死、1名が重症を負いました。運転していたのは47才の歯科医師で、持病のてんかん発作による意識喪失が原因でした。1年後に津地裁四日市支部は、「事故前に発作を起こして意識を失うことを繰り返し、医師から運転を控えるように指示されており、運転の危険性は容易に認識できた」として、禁固2年10月(求刑禁固5年6月)を言い渡しました。

Ⅱ 運転免許の関する欠格条項問題
 
2002年6月に飲酒運転の罰則強化を柱とした道路交通法の改正が行われましたが、同時に欠格事項の改正も実施されました。それまでは「特定の基準を満たすものを対象に、免許取得の拒否や免許更新の取り消しを一律に行う方式」(絶対的欠格事項に基づく方式)をとっていたのですが、この時の改正で、「特定の基準を満たすものを対象に、免許取得の拒否や免許更新の取り消しを行うことができるとする方式」(相対的欠格事故王に基づく方式)に改正されました。これだけをみると、「欠格事由の緩和」とも取れますが、欠格事項の対象となった病気や障害をもつ多数の患者団体は、この改正に異を唱えています。一方、交通事故遺族団体を中心に、「免許申請時の診断書の提出」などの更なる規制強化を主張する団体もあります。
 この時の改正で、申告書への記入内容にて運転適性相談が必要となった場合、医師の診断書の提出が義務づけられましたが、これに対して、プライバシー情報を警察が集めることになるとの批判もあります。また、この時の改正の素案段階で、欠格条項に病名が具体的に複数盛り込まれていましたが、これは、特定の病気に対する偏見を引き起こし、雇用差別などにつながるとの患者団体の働きかけで、法案からは病名は削除されています。

欠格条項の素案に含まれていた病名(カッコ内は問題とされる理由)
・統合失調症、双極性障害、躁病、重症だと判断されるうつ病、持続性の妄想障害
  ・てんかん(意識障害)
  ・ナルコレプシー(睡眠発作)
  ・脳虚血(意識障害)
  ・糖尿病(治療薬の副作用である低血糖によって引き起こされる意識障害)
  ・睡眠時無呼吸症候群(睡眠発作)

 

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