緑内障について(その2)
Ⅳ 慢性緑内障について
従来、眼圧が高いかどうかが緑内障診断の主要な部分を占めてきましたが、近年、眼科分野で緑内障の本体は視神経症であるという見方が定着してきています。すなわち、「緑内障は、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常眼圧を十分に下降させることで視神経障害を改善もしくは抑制することができる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」と定義されるようになりました。さらに、「緑内障の本体は進行性の網膜神経節細胞の消失とそれに対応した視野異常である緑内障性視神経症であり、緑内障は臨床上隅角所見、眼圧上昇をきたしうる疾患の有無および付随する要因により分類される」としています。これらの考え方により、最近では眼圧の検査よりも、眼底検査および視野検査が緑内障の診断では必須となりました。
1)眼底検査の重要性
緑内障診断における視神経乳頭所見を中心にした眼底検査の重要性をまとめると、①他覚的検査であり、②緑内障をスクリーニングする上での検出感度が高く、③緑内障ではしばしば臨床上検出可能な視野欠損の出現に先行して視神経乳頭、網膜神経線維層変化が出現するのが判定できるため、眼底検査で視神経乳頭の変化を観察することで緑内障の早期発見が可能になることです。
2)点眼治療
緑内障治療の最大の特徴は、一旦治療を開始した後は、生涯にわたり視機能の管理を続けなければならないことです。治療方法は、外科的処置が必要な場合や原因疾患があるときはその治療を優先しますが、多くの場合は点眼治療が中心です。
①プロスタグランジン関連薬
②交感神経作動薬:交感神経遮断薬(β遮断薬、α遮断薬)、交感神経刺激薬、炭酸脱水酵素阻害薬、副交感神経刺激薬
3)外科的治療
①房水流出抵抗を減弱させる術式:線維柱帯切除術、線維柱帯切開術、レーザー線維柱帯形成術
②瞳孔ブロックを解除する術式:周辺虹彩切除術、レーザー虹彩切開術
③房水生産量を抑制する術式:毛様体破壊術
Ⅴ おわりに
緑内障はこれまで高眼圧が特徴的とされてきましたが、現在のわが国では正常眼圧緑内障患者さんが急増しています。定期的な眼科検診で、緑内障の早期発見・早期治療に努めて、失明という悲劇を引き起こさないようにしたいものです。
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