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2025年11月17日

腰痛の予防(その1)

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Ⅰ 腰痛とは
 
厚生労働省による2019年国民生活基礎調査によると、腰痛を訴えている者は、男性で最も多く、女性では肩こりに次いで2番目です。また、世界的に見ても先進国では一生の間に一度は腰痛を訴える人は70%以上と報告されています。腰痛とは運動時や安静時に腰部に痛みを感じる疾患の総称で、少なくとも一日以上継続する痛みとされています。腰痛の発症要因としては、脊椎由来、神経由来、内臓由来、血管由来、心因性、その他があります。具体的な原因としては、①重篤な基礎疾患(悪性腫瘍、感染、骨折など)、②下肢の神経症状を併発する疾患、③各種脊柱構成体の退行性病変(椎間板・椎間関節変性など)の三つに分類されます。

Ⅱ 腰痛予防に向けて
 
腰痛予防には、①初発腰痛の発症率を下げる、②腰痛の慢性化や悪化を防止する、③再発を予防する、の三つの概念が含まれます。我が国の腰痛の生涯有病率が8割を超えていること、また半数は仕事に支障のない腰痛であることからも、腰痛の一次予防(腰痛にならないようにすること)に加えて、腰痛の重症化を予防することが重要となります。そのため、腰痛が全くない状態を目標とするのではなく、腰痛があっても日常生活や仕事に支障のない状態にコントロールすることが大切となります。腰痛予防に向けて重要なことは、まず正しい知識を学ぶことにあります。腰痛は様々な要因が絡まって生じる主観的な痛みで、必ずしも感覚的(外傷、疾患、筋骨格系への負担が多い機械的ストレスなど)な問題だけでなく、認知と情緒の問題が背景に潜んでいることもあります。
 「腰痛診療ガイドライン2019」では、慢性腰痛へのアプローチとして認知行動療法と運動療法が推奨されていて、薬物療法では、抗うつ薬、抗不安薬、オピオイドなどの脳への関連薬も推奨されています。さらに、患者教育としての認知行動療法も推奨されていて、①痛みの基礎知識の教育、②活動レベルの適度な向上(過活動は避ける)、③疼痛に対する破局的思考と恐怖回避思考の改善、④ストレスに対する対処スキルの獲得、⑤怒りの管理、など行うことが推奨されています。
 「腰痛資料ガイドライン2019」からみた腰痛予防エビデンスは以下のようになっています。

            表  腰痛予防に有効な方法
・腰痛予防に運動療法は有用である     推奨度 1  エビデンスの強さ B
・腰痛予防に認知行動療法は有用である   推奨度 2  エビデンスの強さ B
・職業性腰痛の予防には、運動と職場環境の改善  推奨度 2  エビデンスの強さ B
  (持ち上げ器具の使用や作業場の高さ調節など)
  が有用である
・コルセットには、腰痛に対する直接的な予防効果はない 推奨度 なし 

*推奨の強さ:1.行うことを強く推奨する 2.行うことを弱く推奨する 
**エビデンスの強さ:B(中)効果の推定値に中等度の確信がある

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