再診の方は原則「予約制」となります。
052-930-1311
お知らせ
2020年11月24日

認知症up to date(その1)

0

Ⅰ はじめに
 
わが国では、高齢人口の急速な伸びと共に認知症の高齢者が大幅に増加して、大きな医療・社会問題となっています。認知症は様々な原因で発症しますが、その病型の多くは成因が未だ十分に解明されておらず、また治療法も確立されていないのが実情です。わが国の認知症の実態を見てみながら、その予防法について考えてみます。

Ⅱ 久山町の老年期認知症の実態調査
 
九州大学の公衆衛生学教室は、1961年から福岡県の炭鉱地帯にある久山町という地域住民の健康状態や病気の罹患率や進行状況などの実態調査を始めました。この久山町研究は50年たった現在も進行中で、一つのモデル地域での疫学調査として貴重なデータを私たちに提供し続けてくれています。この久山町の年齢・職業構成および栄養摂取状態は日本の平均レベルにあります。つまり、この町の住民は偏りがほとんどない典型的な日本人のサンプル集団といえます。
 この町で、1985年、1992年、1998年、2005年に65才以上の全住民を対象とした認知症の有病率調査が行われました。各調査の受診者はそれぞれ887人(受診率95%)、1189人(97%)、1437人(99%)、1566人(92%)でした。
 全ての年でほぼ同じ2段階方式の調査方法が行われました。第1段階のスクリーニング調査では原則的に医師が各対象者を直接面接して、長谷川式簡易知能評価スケールなどの神経心理テストを用いて認知機能を評価し、認知症が疑われるものを対象に二次調査を行い、家族・主治医からの病歴聴取と神経・理学所見と認知症評価検査により認知症の有無、重症度、病型を判定しました。

Ⅲ 認知症有病率の時代的推移
 
全認知症の粗有病率は1985年の6.7%から1992年の5.7%に一旦減少した後に、1998年の7.1%から2005年の12.5%にかけて上昇しました。つまり、最近の65才以上の高齢者では8人に1人が認知症を有するといえます。性・年齢調整後の全認知症の有病率も同じ経過を辿り、時代と共に増加しています。
 病型別では、脳血管性認知症の粗有病率は1985年2.4%、1992年1.9%、1998年1.7%と減少傾向にありましたが、2005年には3.3%と上昇傾向に転じました。一方、アルツハイマー病の粗有病率は1985年の1.4%から1992年1.8%、1998年3.4%、2005年6.1%にかけて約4倍に増えました。

一覧に戻る
0
ページトップへ
ご予約はこちらから
tel 052-930-1311 FAX 052-930-1310
再診の方は、原則「予約制」となります。※急患や初診患者はこの限りではありません
地下鉄東山線千種駅5番出口から徒歩1分
地図を見る
診療時間と休診日