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2024年12月16日

高齢者糖尿病の病態(その2)

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3)高齢者糖尿病の死因
 年齢別日本人の死因に関する2016年の調査より、最も多いのはがんであり、がんの好発年齢は男性では65~70歳をピークに、女性では50代半ばをピークにそれ以後は減っていることが報告されています。次に多いのは心疾患・脳血管疾患です。特に75歳以上の後期高齢者の死因としてはがんよりも心疾患・脳血管疾患の方が主体となっています。
 糖尿病患者はがんになりやすいといわれていますが、高齢者糖尿病患者の死因としては心疾患・脳血管疾患の方が顕著です。最近の我が国の糖尿病患者の死因は、個々の疾患別にみて虚血性心疾患、脳血管疾患、慢性腎不全、心不全を合わせると、大体25%、4人に1人が血管疾患といえます。

4)高齢者糖尿病と心不全
 死因として、もう一つ問題となるのは心不全です。虚血性心疾患などの心イベントがあっても、適切な介入により延命した結果、心駆出力が低下した心不全に進展します。加えて、糖尿病では駆出能が保たれていても心機能が低下する拡張型心不全が多いといわれています。現在、我が国の高齢者糖尿病の20%は心不全を合併しています。問題なのは生存率で、心不全のない人に比べて心不全合併例の5年生存率は20%以下です。糖尿病がない人の心不全患者全体の5年生存率は大体50%ですから、糖尿病患者の予後は極めて悪いといえます。

5)高齢糖尿病と老年症候群
 高齢者糖尿病に併存しやすい老年症候群は、放置すると要介護状態に陥る高齢者特有の問題です。老年症候群合併例では、様々な機能低下を来し、視覚や聴覚機能の問題、運動機能の低下、尿失禁・頻尿、認知機能、抑うつ、栄養障害、摂食・嚥下の問題、フレイル(虚弱)、睡眠障害、骨粗鬆症と多岐にわたります。

6)高齢者糖尿病と認知症
 糖尿病と認知症の関連は古くから知られていて、1922年に糖尿病患者は記憶力、注意力などのテスト成績が悪く、動作の正確性や機敏さが劣っていたとジョスリン・クリニックから報告されています。糖尿病患者は認知症のリスクが高く、アルツハイマー型、脳血管障害型の何れも糖尿病患者では高頻度であるといわれていて、血糖値との関連性が示唆されています。非糖尿病では血糖値が100mg/dLをハザード比1.0とすると、100mg/dLより下がればリスクが低下し、それより上がればリスクは高くなります。糖尿病患者では160mg/dL辺りで、それより下がればむしろリスクは高くなるというU字カーブを描き、低血糖などが悪影響をもたらしていると考えられています。

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