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2022年7月19日

なぜ男性はがんになりやすいのか(その1)

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Ⅰ 癌罹患率からみた性差 
  
がん研究振興財団の「がんの統計‘14」によると、2010年に新たに診断された癌は推定約81万例(男性約47万例、女性約34万例)で、男性の方が約1.4倍多く診断されています。
年齢階級別の人口10万人あたりの罹患率と、各年齢までの累積罹患リスク(%)をみると、罹患率は、19歳までは男性の方がやや高率であるが、それ以降54歳までは女性の方が高率になり、55歳以降は男性が顕著に高くなります。 累積罹患リスクでみると、49歳までにがんに罹患する確率は、男性2.4%に対して女性は 5.2%と2倍以上高いが、79際までは男性39.6%に対して女性27.5%であり、男性の方が 1,4倍がんになりやすいことになります。生涯の累積罹患リスクは、平均寿命が長い女性で、相対的に高率になり、性差が実際よりは低めになるので注意が必要です。 
 全部位およびがんの部位別に59歳まで、69歳まで、79歳まで、生涯のがん累積罹患リスクと男女比をみてみると、59際までで女性の全部位の累積罹患リスクが高いのは、乳房、子宮、卵巣などの女性特有の部位による者で半数以上を占めています。そして、男性特有の部位である前立腺がんは、59歳までの罹患リスクは0.4%と低いのですが、男女共通の部位については、いずれの部位も男性がなりやりやすく、79歳までの累積リスクで、食道が5.7倍、続いて胃2.6倍、肺2.4倍、肝臓2.3倍、大腸1.6倍となります。そして、性差は加齢と共に肺では大きくなりますが、肝臓では小さくなる傾向があります。 

Ⅱ 日本人のがんの原因 
  
日本人で確立したがんの原因としては、喫煙・受動喫煙、過剰飲酒、運動不足、肥満・やせ、食事(塩分・塩蔵食品過剰摂取、野菜・果物摂取不足)、ウイルス・細菌への慢性感染があげられます。おのおのの相対リスクの大きさと国民の要因保有割合から推計した2005年に起こったがんの罹患に対する人口寄与リスク割合(一定の集団で、その原因がなかったとすると、その集団で罹患したがんの減少する割合)の推計値からみると、男性のがんの最大原因は喫煙で、約30%を占めます。次が、感染(ヘリコバクター・ピロリ菌、肝炎ウイルスなど)の約23%で、飲酒の約9%と続きます。そのほか、受動喫煙、食習慣、過体重・肥満、運動不足などがあげられます。 
 2005年のがんの罹患数は、男性約38万例、女性約27万例で、喫煙が原因で起こったと推計された罹患数を除くと男性約27万例、女性約25万例となり、ほぼ同じになります。さらに、そのほかに確立した原因による罹患数を除くと、男性約18万例、女性約19万例となり、やや女性の方が多くなります。この原因としては、女性ホルモンに関連する部分などがこの差に関与していると推測されます。がんに原因割合で性差が大きいのは喫煙と飲酒で、この二つの生活習慣の男女の保有割合の差で、がん罹患率の性差の多くが説明できることになります。

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