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2022年7月25日

なぜ男性はがんになりやすいのか(その2)

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Ⅲ 部位別がんの性差とその原因

1 肺がん
 男性の79歳までの肺がん累積罹患リスクは5.9%で、女性の2.5%の2.4倍高く、性差は年齢と共に大きくなる傾向にあります。肺がんの確立した原因の人口寄与リスク割合は、男女おのおの、喫煙67.5%と23.9%、受動喫煙1.6%と12.6%で、これらの原因を除いた肺がんの79歳までの累積罹患リスクは、男性1.8%、女性1.5%と近似してきます。すなわち肺がんの性差の多くは喫煙で説明可能となります。 

2食道がん 
 男性の79歳までの食道がんの累積罹患リスクは1.7%で、女性の0.3%の5.7倍高いが、年齢による性差は69歳までが9倍と大きい。食道がんの確立した原因の人口寄与リスク割合は、男女おのおの、喫煙8.9%と14.7%、飲酒53.8%と28.9%、果物と野菜の低摂取が10.9%と10.4%で、これらの原因を除いた食道がんの79歳までの累積罹患リスクは、男性0.25%、女性0.15%で、食道がんの性差のおおくは喫煙と飲酒で説明できます。

3 胃がん 
 男性の79歳までの胃がん累積罹患リスクは7.6%で、女性の2.9%の2.6倍高いが、年齢による性差の傾向に大きな変化はありません。胃がんの最大の原因は、ピロリ菌の持続感染で、人口寄与リスク割合は、男性74.2%、女性65.7%と推計されます。この他の確立した原因で保有割合に性差のあるのは喫煙で、男性23.5%、女性3.4%が寄与しています。そのほか、高塩分摂取は男女いずれも8.9%、果物低摂取は男性1.3%、女性2.2%、野菜低摂取は男性 1.3%、女性5.1%と女性で寄与割合がやや高く推計されています。性差の大きい喫煙を除いた胃がんの累積罹患リスクは、男性5.8%、女性2,8%と近似してきます。 

4肝臓がん
 肝臓がんの79歳までの累積罹患リスクは、男性2.8%で女性1.2%の2.3倍高いのですが、加齢と共に性差は小さくなる傾向にあります。肝臓がんの最大の原因は、C型肝炎ウイルスとB型肝炎ウイルスの持続感染で、人口寄与リスクは男性86.4%、女性90,0%と推測されます。 肝臓がんのそのほかの確立したリスクは、男女おのおの、喫煙35.1%と6.8%、飲酒11.6%と 12.3%で、性差の大きい喫煙を除いた79歳までの累積罹患リスクは男性1.8%、女性1.1% と近似してきます。 

5大腸がん 
 大腸がんの79歳までの累積罹患リスクは男性が6.0%で女性の3.8%の1.6倍です。大腸がんの確立した原因の人口寄与リスク割合は、喫煙が男性20.4%、女性4.5%、飲酒が男性32.9%、女性2.1%で性差が大きいのですが、このほかの過体重・肥満や運動不足が確立した原因ですが、これらの性差は大きくありません。これらの原因を除いた79歳までの累積罹患リスクは、男性2.9%、女性3.3%となり、女性の方がやや高率となります。

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