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2017年7月31日

コエンザイムQ10について(その1)

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Ⅰ はじめに

 最近のサプリメントブームの中で、最も注目を集めているのがコエンザイムQ10(補酵素Q10ともいう)です。この生体にとって重要な物質は、エネルギーの産生や抗酸化作用などで、ヒトの健康に深く関与しています。
 現在でもコエンザイムQ10の重要な機能のすべてが十分に解明されてはいませんが、心臓及び心血管系の保護、糖尿病などの病気や、脳及び神経系の機能、さらには癌に対する役割などが明らかにされつつあります。コエンザイムQ10にたくさんの多様な機能があることは、この物質が体内に広く分布しているためです。
 コエンザイムQ10は、1957年に初めて発見され、1978年にはこの補酵素の特殊な機能を明らかにしたピーター・ミッチェルがノーベル化学賞を受賞しました。それ以来、多数の研究によりコエンザイムQ10に対する理解が深められ、多くの重要な機能が明らかにされてきました。

Ⅱ コエンザイムQ10とは何か

 コエンザイムQ10とは、酵素が正常に作用するために不可欠なもの(補酵素)の一種で、自然界に存在する一群の化合物の仲間です。ヒトにはコエンザイムQ10が必要な形態で、別名ユビキノンとも呼ばれています。
 コエンザイムQ10は生体膜に直接入り込める化学構造をしていて、生体膜で大部分の活性を発現します。また、疎水性(水に溶けにくい性質のこと)のため、一般には血液中よりは組織中に高い濃度で存在しています。
 ヒトの体内では、コエンザイムQ10はコレステロールの合成経路を経て生合成されますが、食物からも摂取しています。血中コエンザイムQ10濃度は1日の間で変動しますが、組織中の濃度は比較的安定しています。コエンザイムQ10濃度が最も高い臓器は、心臓、肝臓、腎臓、膵臓で、最も濃度が低い臓器は肺です。

Ⅲ コエンザイムQ10の生物学的機能
 
 コエンザイムQ10は、人体で多くの生物学的機能を持っています。最も研究された機能は、ミトコンドリアという細胞内にある小器官でのエネルギー産生のための共役反応における役割に関してです。ミトコンドリアは生体の細胞内におけるエネルギーの産生工場ともいえる器官です。コエンザイムQ10は、このミトコンドリアの中で行われている、電子と陽子が行ったり来たりすることで、エネルギー回路を駆動させながらエネルギーの産生を行う過程で重要な役割を果たしています。この過程は、高エネルギーを持つ分子(ATP)を生成する酵素の作用と共役しています。
 最近の研究では、コエンザイムQ10は、その広範な分布から、多数の細胞シグナル伝達過程及び遺伝子発現にも関係していることが判ってきました。コエンザイムQ10は、細胞シグナルの転移や遺伝子発現調節を行うことで、健康に広く関与していると考えられています。

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