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2021年1月10日

喫煙と糖尿病(その2)

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Ⅳ 禁煙と糖尿病
 
禁煙後に、合併症にどのような効果が現れるのかを糖尿病患者に限って検討している臨床研究は余り多くありませんが、糖尿病の有無にかかわらず各血管合併症のリスクが減るのは確実です。喫煙の影響は禁煙後10年続くという報告もあり、血糖コントロールの励行と共に、喫煙者はできるだけ早めに禁煙することが肝心です。
 糖尿病患者での禁煙で特に注意すべき点は、1)禁煙後の抑うつ状態、2)体重増加、と3)血糖コントロールです。
 東京都済生会中央病院での実際の成績で、禁煙治療を受けた糖尿病患者の1年後の体重とHbA1cの変化をみてみます。
 糖尿病患者35人を対象として、1年後に禁煙に成功したのは22人、1年後までに9人が再喫煙をし、4人が外来通院中断のため経過不明という結果でした。
 体重については、1年間禁煙した群では禁煙開始時66.1±8.5Kgに対して、3ヶ月後に66.9±8.6Kgと一時的に体重増加が認められましたが、その後は減少して1年後の体重は66.7±9.0Kgと有意な体重増加は認められませんでした。
 HbA1c(NGSP)は禁煙開始時7.5±1.6%に対し、3ヶ月後7.8±1.7%、1年後7.9±1.9%と有意に上昇しました。
 禁煙を継続した群の特徴を再喫煙軍と比較すると、1)開始時の体重が少ない、2)血糖コントロールがよい、3)年齢が高い、など糖尿病自体のマネージメントが良好であることが背景にあると考えられました。
 2型糖尿病患者で禁煙後に血糖コントロールの増悪と血圧の上昇を認めたという報告もありますが、体重などのメタボリックシンドロームに関連する因子は禁煙によって一時的に上昇はしても、数年以内に改善すると指摘されています。糖尿病患者が禁煙する場合、食事・運動療法が日常の治療に組み込まれているので、非糖尿病患者が禁煙のみを目標として治療する場合とは異なっている可能性もあります。
 肥満・血糖コントロールの増悪を招かない禁煙法が今後の課題となりますが、現時点で実証のある体重の増加を防ぐ効果的な方法の一つは運動療法を強化することに尽きるともいえそうです。

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