大気中微小粒子状物質(PM2.5)(その3)
Ⅲ 欧米諸国での疫学研究
(3)PM2.5の健康影響とそのメカニズム
これまでみてきたように、PM2.5の健康影響は、短期および長期の暴露により広範な影響が認められています。これらの健康影響が生じるメカニズムとして、動物実験では高濃度のPM 2.5への暴露によって気道や肺に炎症反応が誘発され、喘息を悪化させ、呼吸器感染への感受性を高めることが明らかにされ知ます。循環器系への影響が生じるメカニズムは不明な点が多いのですが、ヒト志願者にPM2.5を暴露した実験などから、自律神経機能への影響を介して不整脈などを引き起こし、生理活性物質や過酸化物の増加、血液凝固系の活性化による直接的、間接的な影響があるものと考えられています。
(4)PM2.5の発生源および成分と健康影響の関連
PM2.5は発生源や成分が異なる様々な物質の混合体です。使用される燃料や燃焼方法、気象条件の違いなどにより化学的組成には大きな差異があると考えられています。近年は、PM 2.5の発生源や成分についての研究も行われるようになり、自動車排気、石炭・石油燃料などに由来する粒子が心血管系および呼吸器系疾患に影響を与えることが示唆されているが、現在のところ、健康影響をもたらす特定の成分は明らかにされていません。
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