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2021年10月25日

女性の肥満・肥満症(その1)

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Ⅰ はじめに
 
女性にとって肥満は美容上大きな関心事ですが、肥満は美容上の問題だけでなく、生殖機能にも大きく関わっています。肥満は女性の全てのライフステージで様々な問題をもたらします。思春期や性成熟期での肥満は月経異常や不妊症の原因となることが知られています。また、肥満女性の妊娠はハイリスク妊娠で、更年期以降の肥満はメタボリックシンドロームや癌の発症にも大きく関わっています。

Ⅱ 思春期・性成熟期での肥満と月経異常

1 肥満と月経異常
 
「やせ」は月経不順の原因となることがよく知られていますが、肥満でも月経異常は高頻度です。月経周期は通常25~28日ですが、排卵が障害れると月経周期は長くなり,同時に排卵障害は女性の妊孕力低下にもつながります。肥満指数(BMI)と月経異常との関連をみると、欧米のデータではありますが、月経異常になる確率はBMIが22~23で最も低く、BMIが低すぎても、高すぎても月経異常になる確率は高くなります。さらに、正常月経周期の人たちでは肥満者の頻度が9~13%でしたが、月経異常の人たちでは肥満者の頻度は45%にも及ぶという報告もあります。このように肥満と月経異常には密接な関係があります。

2 肥満のタイプと月経異常
 
同じ肥満度でも内臓脂肪型肥満(上半身型あるいは男性型肥満)のほうが皮下脂肪型肥満(下半身型あるいは女性型肥満)よりも月経異常の頻度が高いことが知られています。内臓脂肪型肥満の指標となるウエスト周囲長と月経異常の関係をみると、ウエスト周囲長が約75cmの女性が最も月経異常を示す頻度が低く、この前後で月経異常の頻度は上昇します。

3 肥満と内分泌異常
 
内臓脂肪型肥満では、インスリン抵抗性による代償性の高インスリン血症と種々の炎症性サイトカインの増加がみられます。高インスリン血症は卵巣莢膜細胞の増殖を促進し、アンドロゲン(男性ホルモン)産生が亢進します。高アンドロゲン血症は卵胞に直接作用して、排卵障害、月経異常を引き起こします。
 性成熟女性での月経異常や不妊の原因疾患で、肥満とインスリン抵抗性が関与する最も重要な疾患は多嚢胞性卵巣症候群です。これは性成熟女性の5~10%に認められ、希発月経や無月経などの月経異常,排卵障害による不妊の原因になります。さらに、肥満や脂質異常症
 を伴い、心疾患やメタボリックシンドロームの危険因子としても重要です。

4 性成熟女性での減量と月経異常

肥満者は減量によりホルモン環境が正常化し、月経周期の正常化と妊孕力の回復が認められ、さらに高アンドロゲン血症も改善します。重要なポイントは、理想体重までの減量ではなく、5%程度の減量であってもホルモン値の正常化、排卵・月経周期の回復と妊孕力の回復がみられます。

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