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2021年10月18日

肥満症の運動療法ー成功のコツ(その4)

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Ⅱ 運動療法の実際

2)運動処方

④運動の種類
 外来で医師が指示する最も一般的な運動は、速歩のウォーキングです。整形外科的な問題があるヒトでは水中ウォーキングが有効ですが、運動の機会が増えにくく、水中では体重も軽くなるため、エネルギー消費が少ないのが難点です。自転車エルゴメータもエネルギー消費量は少なく、肥満者に多くみられる変形性膝関節症を合併している場合は、膝痛で実施困難なこともあります。
 ウォーキングは運動経験のない肥満者にとって初めの内は良好な負荷となりますが、3ヶ月程度で身体が慣れ、半年以降ではドロップアウトが起こりやすくなります。この原因として、身体的スキルが運動課題を上回ることによる退屈が考えられます。運動継続のためには、後から述べる内発的動機付けを喚起したり、身体能力の向上に併せて課題がレベルアップするような運動プログラムの工夫が必要です。
 なお、高齢者では骨格筋量の減少に体脂肪蓄積を伴った肥満(サルコペニア)の病態が認められます。この様な場合には、有酸素運動に加えてレジスタンス運動(筋力トレーニング)も重要になってきます。

Ⅲ 運動継続のコツ
 
うまく運動療法が導入され6ヶ月程度続いても、それ以降次第に運動量が減ることは少なくありません。運動は、周囲の環境が整えば自然に行うようになるものではなく、意志によって選び取って行うものです。したがって、自分は何のために運動を行うのかという動機が大切です。
 減量、疾患の予防・治療など運動以外に目標があり、運動がその達成手段である者を外発的動機付けと呼び、運動する楽しさなど運動それ自体が目標となるものを内発的動機付けと呼びます。前者は目標達成まで長期間を要し、目標と運動の関係も強固でないためドロップアウトが起こりやすく、後者は運動する場で目標が達成されるため運動継続がしやすい。
 内発的動機付けには、自立性、有能感、社会的関係性の3つが重要です。初めの内は、コンディショニングのために、ウォーキングなどの特定の運動から始めますが,これまで述べてきたような細かい指示内容は、却って運動継続の阻害因子にもなりかねません。ウォーキングから始めて、次第に自分の好みで運動の選択の幅を広げるようにします。運動それ自体の楽しさや遊びの要素、技術向上や進歩による有能感(その時点の習熟度より若干高いレベルの運動課題が最も楽しいものです)、さらに運動を通じた他者との関わりの3点を念頭に置いて運動することが、運動の長期継続に極めて重要です。

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