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2023年7月10日

女性の脂質代謝異常治療(その1)

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Ⅰ はじめに 

冠動脈疾患の発症頻度は、男女いずれも加齢と共に上昇して、男性は女性よりも高いことか知られています。しかし、女性の場合は閉経年齢である50歳以降に急増して、男性の頻度に近付きますが、さらに虚血性心疾患患者での冠動脈ステント留置後の総死亡及び心臓死は女性の方が高率だとの報告もあります。冠動脈疾患の発症にはLDL-Cの蓄積の関与が男女共に証明されています。女性の場合、閉経が脂質代謝に大きく影響することが分かっていて、エストロゲンの低下がLDL-Cを上昇させて、冠動脈疾患をもたらします。 
エストロゲンには脂質代謝改善効果や血管内皮機能改善など、多くの抗動脈硬化作用があるため、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の発症予防目的で多くの閉経後女性が使用していました。しかし、2002年にホルモン補充療法は心血管疾患のリスクを逆に上昇させると報告されたため、ホルモン補充療法が否定的になった時期もありました。その後に多くの研究がなされ、ホルモン補充療法の開始時期や使用期間、エストロゲンの種類や投与経路、黄体ホルモンの種類などで心血管疾患リスクに大きな差異のあることも判明しました。 

Ⅱ 男女の経年的脂質変化 

平成27年国民健康・栄養調査報告によれば、LDL-Cは男性では特徴的な変化はありませんが、女性の場合、閉経年齢である50才頃から上昇して男性よりも高値となります。中性脂肪は基本的に男性が高値で推移しますが、女性では50才頃から急、激に上昇する推移をしまします。HDLCは女性が高値で推移しますが、男女共に大きな経年的な変化はありません。このように女性の場合、閉経を過ぎると脂質代謝に乱れを生じ脂質異常症の頻度が急増します。これはエストロゲン低下が原因であることが証明されています。 

Ⅲ 女性の冠動脈疾患リスク因子の特徴 

急性心筋梗塞の動脈硬化リスク因子である高血圧、家族歴、高コレステロール血症、肥満のオッズ比に男女差はありませんが、喫煙は男性の4.00に対して女性は8.22、糖尿病も男性の2.90に対して女性は6.12と高値を示すことが報告されています。また、10年間の冠動脈疾患の死亡率を検討したNIPPON DATA 80の冠動脈疾患のリスク評価チャートによると、男性の場合、血圧、喫煙、総コレステロール、年齢、血糖全ての危険因子が一様に死亡率の上昇と関連しますが、女性は年齢と血糖が特に関与することが示されています。さらに女性の喫煙者は非喫煙者に比べて脳卒中リスクが約4倍高いことも示されています。また、禁煙でそのリスクは2年以内に急激に低下することも報告されています。 

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