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2023年7月16日

女性の脂質代謝異常治療(その2)

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Ⅳ 女性の脂質代謝の特徴 

閉経前は閉経後と比較して、脂質異常症の頻度は低く、心血管疾患発症頻度も低いため、閉経前で高LDL-C血症がある場合には、家族性高脂血症などの原発性高脂血症や、甲状腺機能低下症、原発性胆汁性肝硬変などの自己免疫疾患の存在を否定する必要があります。 
一方、自然閉経女性や手術などで外科的に閉経した若年者では、エストロゲン濃度の低下によりLDL-Cが高値となります。また、中性脂肪もエストロゲンが低下すると高値となります。高中性脂肪血症は、より動脈硬化に促進的なsmall dense LDLと関係することが注目されています。Small dense LDLが動脈硬化の進行に際して超悪玉である理由として、肝臓のLDL-C受容体との親和性に乏しいため肝臓に取り込まれにくく、そのために血中にLDL-Cが停滞しやすいことや、血管壁内で酸化変性されやすくなるために、動脈硬化を促進するマクロファージという細胞に取り込まれやすくなることなどが考えられています。さらに酸化LDL-Cは、動脈硬化の発症と密接に関連している血管内皮機能を傷害することも最近明らかになりました。 

V 脂質異常症の管理 

1 管理目標値 

一次予防の場合は,低リスク群160mg/dL未満、中リスク群140mg/dL未満、高リスク群 120mg/dL未満ですが、冠動脈疾患の既往のある二次予防の場合は100mg/dL未満とさらに厳しく設定されています。中性脂肪とHDLコレステロールはリスクの高低に関係なく、それぞれ150mg/dL未満、 40mg/dL以上です。 

2 脂質異常症の治療
①閉経前女性 
禁煙、食事療法、運動、減塩などによる生活習慣改善が基本です。家族性高脂血症の場合は生活習慣の是正とともにスタチンなどの適切な薬物療法でLDL-Cを低下させます。

②閉経後女性 
(1)生活習慣の改善 
禁煙、食事管理、体重管理、身体活動、運動療法など行う必要があります。 
(2)ホルモン補充療法 
ホルモン補充療法は閉経後早期に開始すると心血管疾患発症リスクを低下させる傾向が示されています。5年以上のホルモン補充療法で乳癌リスクが高まるため、最小量の最小期間のホルモン補充療法がアメリカでは推奨されていますが,冠動脈疾患に関しては5年まではリスクの上昇が認められますが、その後は低下することが分かってきました。このため、ホルモン補充療法は3~6ケ月間は行っても良いというのが一般的な考えです。 
(3)薬物療法 
生活習慣の改善やホルモン補充療法を行っても管理目標値に達しない場合は、スタチンなどの薬物療法を行います。

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