寿命と運動について(その2)
Ⅴ 日本人スポーツマンの寿命
1998年に調べられた結果で、日本人のスポーツマンの平均寿命を見てみてみると、伝統的な日本の格技は一般に長寿といえます。最長寿は剣道の77.1歳、アマチュア相撲が73.6歳、柔道が72.4歳でしたが、プロ相撲は56.7歳と最も短命でした。
これに対して、外来の格技は何れも短命傾向で、プロボクシングの61.5歳は全種目中でも3番目に短命です。アマチュアボクシングは69.0歳で、プロとアマの差は相撲ほどではありませんが7.5歳と大きく、レスリングも65.6歳と短命傾向でした。
一方、プロ野球は66.3歳とアマ野球の71.2歳より短命でした。近年の選手は健康管理に注意して科学的なトレーニングをするようになりましたが、従来の選手は激しい無理なトレーニングや生活をする人が多かったようであり、また身分が不安定で、勢い無理な生活をしがちであることも短命化に関係しているようです。
サッカーが68.5歳でやや短命でしたが、バレーボール、バスケットボール、ラグビーやプロゴルフ、テニスなどはいずれも70歳を超えていました。最も長寿なのはテニスの74.3歳でしたが、プロゴルフも73.6歳と比較的長寿でした。これは強度の軽い運動を生涯にわたって行うことができることと関係しているようです。
体操競技は強い心理的緊張と激しいトレーニングを伴うストレスの高い競技なために選手は日常生活でもダイエットをしたり新しい技術の習得のための危険を克服したりする影響もあるのでしょうか、体操は66.1歳と短命でした。
陸上競技の中長距離の寿命は80.3歳で全種目中最長寿でした。スキーは77.3歳と長命なスポーツで、ついでボート競技が76.2歳と長命でした。
プロとアマでは寿命に大きな差がみられたように、激しすぎる運動は決して健康長寿に役立たないようです。
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